4月の俳句と季語|さまざまの事おもひ出す桜かな(松尾芭蕉)ほか30句

4月の俳句と季語を選りすぐりました。全30句。4月の手紙にも使えるように、上旬・中旬・下旬ごとに分け、手紙を受け取った相手に、より季節感が伝わるような俳句を選んであります。たとえば4月の上旬に出す手紙やはがきに俳句を入れるなら「さまざまの事おもひ出す桜かな」(松尾芭蕉)。そしてこの句を使って小学校の入学祝い文を書くとしたらこんな感じになります――

 

4月の俳句を挨拶文に入れた小学校の入学祝い文例

「さまざまの事おもひ出す桜かな」(松尾芭蕉)「さまざまの ことおもいだす さくらかな」(まつおばしょう)という俳句を入れた小学校の入学祝い文を作ってみました。ひとつの文例としてお読みください。なお文中の斜線( / )は改行の目安です。

さまざまの事おもひ出す桜かな(松尾芭蕉)

このたびは、夏歩ちゃんが私立の小学校に入学されるとのこと。おめでとうごさいます。/難関突破はご家族そろっての勲章と拝察いたします。夏歩ちゃんのお宮参りの写真を見せていただいたのが、つい昨日のことのようです。/夏歩ちゃんの制服姿をぜひ一度、拝見したく存じます。/ご入学のお祝いに心ばかりの印を送らせていただきました。ご笑納いただけたら幸いです。/まずは心からお祝い申しあげます。

4月の俳句と季語|4月上旬に出す手紙やはがきの挨拶文に

桜
●春日(はるひ)…まん丸にいづれど長き春日かな(山崎宗鑑)●清明(せいめい)…清明の路ゆく媼が念珠かな(飯田蛇笏)●花(はな)…四方より花吹き入れて鳰の海(松尾芭蕉)●桜(さくら)…哲学の道の流れに桜かな(鈴木清月)●麗か(うららか)…うららかにきのふはとほきむかしかな(久保田万太郎)

●花衣(はなごろも)…ぬぎ捨てし人の温みや花衣(飯田蛇笏)●花曇(はなぐもり)…花曇海を見て来し靴の砂(井上美子)●雲雀(ひばり)…雨の中雲雀ぶるぶる昇天す(西東三鬼)●土筆(つくし)…蝶の影二つとなりし土筆かな(原石鼎)●水温む(みずぬるむ)…水ぬるむ頃や女のわたし守(与謝蕪村)

4月の俳句と季語|4月中旬に出す手紙やはがきの挨拶文に

菜の花
●落花(らっか)…濡縁にいづくともなき落花かな(高浜虚子)●日永(ひなが)…のぞき見ては塀穴ふさぐ日永かな(杉田久女)●桜貝(さくらがい)…心うちしめりて拾ふ桜貝(後藤夜半)●桜鯛(さくらだい)…鰈らは乞食魚かも桜鯛(日野草城)●春(はる)…岸壁は波にまかせて島の春(辻桃子)

●蝶(ちょう)…方丈の大庇より春の蝶(高野素十)●草餅(くさもち)…大仏に草餅あげて戻りけり(正岡子規)●春風(しゅんぷう・はるかぜ)…古稀といふ春風にをる齢かな(富安風生)●菜の花(なのはな)…菜の花のはるかに黄なり筑後川(夏目漱石)●躑躅(つつじ)…庭芝に小みちまはりぬ花つつじ(芥川竜之介)

4月の俳句と季語|4月下旬に出す手紙やはがきの挨拶文に

藤の花
●藤(ふじ)…風入れてめざめかぐはし藤の花(水原秋桜子)●山吹(やまぶき)…ほろほろと山吹散るか滝の音(松尾芭蕉)●朧月(おぼろづき)…大原や蝶の出で舞ふ朧月(内藤丈草)●春尽く(はるつく)…春尽の何もせざれど疲れにし(高田蝶衣)●残花(ざんか)…着てみれば岬の残花石に散る(川越古境)

●桜草(さくらそう)…こどもの眼皆うららかに桜草(増田龍雨)●四月尽(しがつじん)…夜具の下畳つめたき四月尽(橋本多佳子)●暮の春(くれのはる)…いとはるる身を恨み寝やくれの春(与謝蕪村)●春惜しむ(はるおしむ)…汝と我相寄らずとも春惜しむ(阿波野青畝)●行く春(ゆくはる)…行く春を近江の人と惜しみける(松尾芭蕉)
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