越谷香取神社の雛人形展示会の写真(江戸時代のお雛様など)

埼玉県越谷市にある越谷香取神社で毎年2月下旬から3月下旬の約1か月間にわたって行なわれる「雛人形展示」の様子を実際に展示会場で撮影した写真とともにご紹介します。江戸時代の亨保雛(きょうほびな)をはじめ明治・大正・昭和など展示されているお雛様は約500体。3月3日にはお茶会も行なわれます。

 

越谷香取神社の雛人形展示<2023年>日程と時間

越谷香取神社 越谷香取神社の雛人形展示の2023年の日程は2月18日(土)から3月21日(火)まで。時間は午前10時から午後4時まで。お雛様が公開されている場所は香取神社の社務所です。神楽殿(かぐらでん)にも雛人形が飾られています。見学料は無料。

社務所 展示されている雛人形は約500体。江戸の亨保雛(きょうほびな)御殿雛(ごてんびな)次郎左衛門雛(じろうざえもんびな)をはじめ江戸時代・明治・大正・昭和・平成のお雛様や徳川家14代慶勝(よしかつ)夫人となった貞徳院(ていとくいん)矩姫(かねひめ)所用の有職雛(ゆうそくびな)を原寸大で復元した内裏雛(だいりびな)など。

そのほか、幻の雛人形と言われた越谷段雛(だんびな)の復元やおかめ三人官女(さんにんかんじょ)狆引き官女(ちんひきかんじょ)など珍しい人形も飾られています。

江戸時代の雛人形(次郎左衛門雛・亨保雛・古今雛)

江戸時代のお雛様 越谷香取神社の雛人形展示で目を引くのが江戸時代のお雛様。会場に入って、右側奥のエリアに、次郎左衛門雛(じろうざえもんびな)亨保雛(きょうほびな)古今雛(こきんびな)など江戸時代に流行した雛人形が展示されています。

次郎左衛門雛 江戸中期に京都の人形師・次郎左衛門が作った次郎左衛門雛(じろうざえもんびな)。丸い顔と引目鉤鼻(ひきめかぎばな)の優雅な顔立ちが特徴。引目鉤鼻とは貴族の男女の顔の表情を優雅に美しく表現する模写技法で、古くは 法隆寺の聖徳太子絵伝や源氏物語絵巻などにも見られます。

亨保雛 こちらは江戸中期・亨保(きょうほ)年間(1716年~1736年ごろ)に流行した亨保雛(きょうぼびな)。男雛(おびな)は束帯(そくたい=朝廷の正装)・女雛(めびな)は衣唐衣裳姿(いつつぎぬからぎぬも=十二単=じゅうにひとえ)。豪奢(ごうしゃ)な亨保雛は贅沢すぎると「奢侈禁止令」(しゃやしきんしれい)が出され、幕府から取り締まりを受けるほどでした。

古今雛 こちらは約250年前、江戸時代の中期・明和(めいわ=1765年頃)流行した古今雛(こきんびな)。それまでは知名度の高い雛人形は京都で作られていましたが、浮世絵美人風の華麗な江戸生まれの雛人形として大流行しました。現在の雛人形はこの古今雛の系譜に属しているといわています。

古今雛|原舟月作 こちら(上の写真)は、江戸を代表する人形師・原舟月(はらしゅうげつ)作と伝えられる古今雛(こきんびな)。江戸中期・安永年間(1751~1780)ごろの作品で、お姫様が立ち膝で座っているのが特徴です。

有職雛人形(復元)

有職雛人形(復元) 上の写真は、尾張徳川家14代・慶勝(よしかつ)夫人となった貞徳院矩姫(ていとくいんかねひめ)所用の有職雛人形(狩衣姿〈かりぎぬすがた〉の内裏雛一対)を史上初めて原寸大で復元したもの。有職雛とは、公卿(くぎょう)の装束(しょうぞく)を正しく考証して作られた雛人形のことで、優雅で気品あふれる姿をしています。矩姫(かねひめ)は、二本松藩(福島県)藩主・丹羽長富(にわながとみ)の三女で、江戸後期・嘉永2年(1849)に、尾張家に嫁ぎました。

越谷段雛(復元)

越谷段雛 上の写真の雛人形は「越谷段雛」(こしがやだんびな)。江戸中期・亨保の改革(きょうほのかいかく)で豪華な雛人形の政策が禁じられたので、その反動として、箱の中に段をつけて、けし粒のような雛を並べた越谷段雛が作られました。「御小屋雛」(おこやびな)とも呼ばれ、徳川家などにも収められていた高価な雛人形です。

長年、幻の雛人形と言われていましたが、東京の西沢家と秩父の小林家に保管されていたことが分かり、両家の好意で、越谷の人形店・ひな源の山咲さんが復元。上記写真の越谷段雛は復元された越谷段雛です。

明治時代のお雛様

明治時代の雛人形 明治時代の古今雛 江戸時代以降の雛人形も数多く展示されています。上の二枚の写真は明治時代の雛人形と明治初期の古今雛(こきんびな)です。

大正時代の雛人形

大正時代の雛人形 胡蝶の舞 大正時代のお雛様も見ることができます(上記画像)。江戸時代や明治時代と比べると新しいように思えますが、それでも今から約100年前の雛人形です。上の二枚の写真のうち下は胡蝶の舞(こちょうのまい)を躍る雛人形です。

おかめ三人官女

おかめ三人官女 おかめ おかめ三人官女というユニークな雛人形も展示されています。三人官女のうち真ん中の官女がナントおかめ顔。三人官女すべてが「おかめ」ではなく、真ん中のひとりだけ「おかめ」というのが面白いですね。おかめ三人官女は、江戸時代と昭和初期の雛人形の二箇所に飾られています。

狆引き官女(ちんびきかんじょ)

狆引き官女 狆 座敷犬 こちら(うえの写真)は狆引き官女(ちんびきかんじょ)という雛人形です。官女(かんじょ)が狆(ちん)を引いています。

江戸時代・犬公方(いぬくぼう)と呼ばれた五代将軍・徳川綱吉克(とくがわつなよし)の治世下(1680年から1709年)では、江戸城で座敷犬・抱き犬として飼育された狆(ちん)。吉原の遊女たちも狆を好んで愛玩(あいがん)したとか。当時の世相がしのばれる雛人形です。

昭和・平成の雛人形

昭和の雛人形 平成の雛人形 昭和と平成の雛人形も展示されています。江戸中期・江戸後期・明治・大正・昭和・平成のお雛様たちの顔かたちを見比べるほかにも雛段の下に置かれている勝手道具や持ち物などをじっくり観察するのも面白いですね。

雛人形展示|越谷香取神社 江戸・明治・大正・昭和・平成と約500体の雛人形が見られる越谷香取神社の雛人形展。2023年の日程は2月18日(土)から3月21日(火)まで。時間は午前10時から午後4時までです。

ひなまつり茶会(越谷香取神社)2023年の日程

越谷香取神社では雛人形展示の展示の期間中に「ひなまつり茶会」が行なわれます。2023年は、3月3日(金)午前10時から午後2時まで。場所は社務所内。参加費は300円。社務所でお茶とお菓子がいただけます。申込みと詳細は 越谷香取神社のホームページ でご確認ください。上記の動画(YouTube)は越谷香取神社の雛祭りお茶席の様子です。

越谷香取神社の場所と地図

越谷香取神社の場所は東武伊勢崎線・北越谷駅東口(改札口を出て左)から徒歩約4分。住所は埼玉県越谷市大沢3-13-38。駐車場は約20台(無料)。満車の場合は 北越谷駅周辺のコインパーキング を利用してください(有料)。越谷香取神社への行き方は下記地図(Google マップ)で調べられます。

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五月人形展示会

五月人形展示(越谷香取神社) 4月中旬から5月上旬には五月人形展示が行なわれます( 越谷香取神社の五月人形展示会 )。約100点の鎧兜(よろいかぶと)や五月人形などが展示されます。歴史的に価値のある人形や幟(のぼり)も見ることができます。
 

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