埼玉県越谷市にある県民健康福祉村。私は毎日、桜並木に囲まれた県民健康福祉村の遊歩道(1周1.85キロメートル)でウォーキングをしていますが、毎年、9月中旬から9月下旬にかけて、桜毛虫として知られるモンクロシャチホコの幼虫が大量発生し、桜の木の下の遊歩道をモンクロシャチホコの幼虫たちがうごめいています。ウォーキングの途中に撮影したモンクロシャチホコの幼虫の写真と動画を交えながら発生時期や駆除についての考え方などを分かりやすくまとめました。掲載している画像と動画の撮影場所は県民健康福祉村。撮影年月日は2017年9月21日…。
モンクロシャチホコの幼虫について
上の写真は、モンクロシャチホコ(紋黒鯱)という蛾の幼虫です。名前の由来は、幼虫の体が黒くて、シャチホコみたいに頭と尻を持ち上げるポーズが得意だから、という説が一般的です。また、お尻を持ち上げることからシリアゲケムシという別名もあります。上の写真は、ちょうど頭を持ち上げたところのモンクロシャチホコの幼虫です。桜の葉っぱが大好きなので「桜毛虫」(さくらけむし)とも呼ばれています。
秋に桜の木の下にいる黒い毛虫はモンクロシャチホコの幼虫です。
秋、9月中旬から下旬にかけて、黄緑色の毛が生えている黒い毛虫が桜の木の下を歩いていたら、それはモンクロシャチホコの幼虫です。しかもその黒い毛虫が大量発生していたら間違いなくモンクロシャチホコの幼虫です。成長のサイクル
モンクロシャチホコの幼虫は、8月ごろから孵化します。最初は赤褐色をしていますが、成長するにつれて黒くなり、黄色い毛が生えてきます。体調は 5センチほど。桜の葉っぱが大好きで、しかも大食漢。桜の葉を食べ尽くすと、9月の中旬から下旬にかけて、樹上から地面に下りてきて、土の中に潜ってサナギになり、冬を越して、6月から7月ごろに成虫(蛾)になります。上の写真は、成長して地面に下りてきたモンクロシャチホコの幼虫です。
発生時期
モンクロシャチホコの幼虫の発生時期は、8月下旬から9月上旬。桜の葉を大量に食べるので、桜の木の下が糞〈ふん〉だらけになりますから、すぐに分かります。成長して、桜の木から下りてくるのが 9月中旬から9月下旬ごろです。上の写真は、モンクロシャチホコの幼虫の糞〈ふん〉。黒い点のようになっているのが糞です。毒性はありません。人間には無害です。
モンクロシャチホコの幼虫には毒はありません。人間には無害です。といっても見た目はなんともグロテスク。たくさんのモンクロシャチホコの幼虫が地面をうごめく姿はゾッとします。県民健康福祉村にはカラスや野鳥もたくさんいますが、モンクロシャチホコの幼虫を食べている鳥は見たことがありません。鳥にとってもモンクロシャチホコの幼虫はおいしいエサではないようです。モンクロシャチホコの幼虫の動画
2016年には県民健康福祉村でもモンクロシャチホコの幼虫が大発生
県民健康福祉村でも去年(2016年)モンクロシャチホコの幼虫が大発生しました。公園内の桜並木が根こそぎ丸裸にされましたが、今年(2017年)は、消毒をしたせいか、数は激減しました。モンクロシャチホコの幼虫に葉っぱを食い尽くされた桜の木は、わすかに 1本だけ。公園の清掃管理業務を請け負っている人たちが、こまめに桜の木の下を掃いてくださっているので、遊歩道をうごめくモンクロシャチホコの幼虫も今年はあまり気になりませんでした。モンクロシャチホコの幼虫に葉を食い尽くされた桜の木
さくらの葉っぱが大好きなモンクロシャチホコの幼虫。しかも食欲は旺盛。モンクロシャチホコの幼虫たちに狙われた桜の木は、葉っぱを食い尽くされ、丸裸にされてしまいます。上の写真は、モンクロシャチホコの幼虫に葉っぱを食い尽くされた桜の若木。撮影年月日は 2017年9月21日。場所は県民健康福祉村(埼玉県越谷市)本来ならこの時期はまだ桜の木は上の写真のように葉をつけています。
ところが、モンクロシャチホコの幼虫たちに狙われてしまうと、桜の木は、このように(上の画像のように)葉っぱを食い尽くされて、落葉を終えた冬の裸木(はだかぎ)のような姿になってしまいます。モンクロシャチホコの幼虫は、人間には無害といっても桜の木にとってはまさに害虫ですね。
モンクロシャチホコの幼虫駆除に対する対応
公園の桜や河川敷の桜並木などに大量発生したモンクロシャチホコの幼虫を駆除するかどうか、公園や河川敷を管理する自治体でも「駆除する」「駆除しない」と対応はさまざまです。モンクロシャチホコの幼虫は人間には無害なので、原則的には駆除しないという自治体は、農薬でモンクロシャチホコの幼虫を駆除するメリットよりも農薬散布が環境や人体に及ぼす悪影響のデメリットのほうが大きい、と判断しています。
これに対し、駆除するという自治体は、公園の利用者や地域住民から苦情が多いので、その声に応える形で駆除している、というのが大きな理由です。たしかに、桜並木の下の遊歩道に、モンクロシャチホコの幼虫が大量にうごめいていたら、いくら毒はないので人体には無害です、といわれても気持ちが悪くて歩けません。
各自治体も毎年、9月中旬から下旬ごろに大量発生するモンクロシャチホコの幼虫駆除については、発生の状況に照らし合わせながら、さまざまな角度から対応を検討している、というのが現状です。