気をつけていても体の中にたまっていく脂肪。よく言われるのは皮下脂肪と内臓脂肪の二つ。でもあなたは知っていますか? まったく新しい脂肪が発見されたということを。それは、さまざまな病気の原因になる「第三の脂肪」。第三の脂肪とは――
第三の脂肪とは?
体のまわりを取り巻くように付いているのが皮下脂肪。内臓の間に貯まっているのが内臓脂肪。そして第三の脂肪は、この二つとはまったく別の場所に存在しています。その場所は筋肉の中。人間の体の中には、たくさんの筋肉がありますが、この筋肉の中にたまっている脂肪が「第三の脂肪」と呼ばれ、今たいへん注目されています。第三の脂肪が血糖値を上げる最大の原因
たとえば、皮下脂肪と内臓脂肪を合せて30キロの脂肪をため込んでいる人の場合、第三の脂肪の推定量は500グラム。第三の脂肪は、たったこれだけの少量で、体に悪影響を与えるんです。それは血糖値の上昇。これまでは内臓脂肪が血糖値上昇の最大原因と言われていましたが、近年、第三の脂肪が血糖値を上げる最大の原因という説が有力になってきています。この第三の脂肪を放置していると糖尿病を招き、最悪の場合は心筋梗塞など、命を落とす危険も高くなります。
第三の脂肪は、筋肉の細胞内に取り込まれていますが、正常な筋肉にも脂肪は必ずあります。ただし、運動不足や食べ過ぎなどで全身の筋肉に第三の脂肪がたまりすぎてしまうと、生活習慣病を起こす危険性が高くなるわけです。
脂肪がなぜ筋肉の中にたまるのか?
脂肪は筋肉を動かす燃料。脂肪は食事によって体内に入ります。食べたものが胃で消化され、小腸で吸収され、最終的には血液を通って全身に運ばれ、筋肉に取り込まれて、筋肉を動かすエネルギーのひとつとして使われます。食事で摂った脂肪は筋肉に蓄えられますが、運動によって使われます。運動すれば筋肉内の脂肪は消費されます。つまり、脂肪は食事のたびに筋肉に入って動で使われる、というサイクルになっています。運動をしないと脂肪が使われずに筋肉にため込まれていきます。この筋肉内にたまってしまった脂肪が第三の脂肪です。
運動をすると、まずは筋肉の細胞内にある脂肪が使われ、そのあとで内臓脂肪や皮下脂肪が使われるんです。運動をほとんどしないという生活習慣では、内臓脂肪や皮下脂肪が使われることはなく、生活習慣病の原因となる第三の脂肪が溜まり続けていくことになります。
第三の脂肪が引き起こす病気の代表が糖尿病
さまざまな病を引き起こす第三の脂肪。その病気の代表が糖尿病です。なぜ第三の脂肪が糖尿病を引き起こすのでしょうか。筋肉は、脂肪たげではなく、糖分もエネルギーとして使っています。血管の中を流れる糖(血糖)は、普通の状態ですと、次々と筋肉の細胞に取り込まれていきます。ところが筋肉内に第三の脂肪がたくさん溜まっていると、糖分がブロックされてしまうんです。
この結果、血液中に糖分があふれてしまい、血糖値が上がって糖尿病を発症することにつながってしまいます。食べ過ぎは第三の脂肪をためやすくしてしまいますが、健康的な普通の食事をしていても運動をしなければ、第三の脂肪は筋肉内にたまっていきます。
第三の脂肪はどんな人にたまりやすいのか?
ではどんな人に第三の脂肪はたまりやすいのでしょうか。とくに多いのが40代から50代のサラリーマンや主婦。運動不足と肥満体型で肥満度を示すBMI値が25以上。BMI(ビーエムアイ)は【 体重(kg)÷身長(m)÷身長(m) 】で求められます。たとえぱ身長170センチ・体重78キロの場合、BMIは、78.0÷1.70÷1.70=26.9。BMIの数値が25以上を肥満とみなすので、BMIが26.9というのは肥満と判定されます。
40代・50代で、運動らしい運動をまったくやってない人、昔スポーツや運動をやっていたけど、ここ数年、すっかり運動から遠ざかっている人は、とくに要注意です。
第三の脂肪がたまっている人は、血糖値が高く、血糖値をコントロールするインスリンの働きも低下している可能性があるので、糖尿病を起こすリスクが高くなります。