埼玉県越谷市の総鎮守とされる久伊豆神社(ひさいずじんじゃ)の見所◇参道◇第三鳥居◇藤◇大絵馬(平田篤胤奉納大絵馬)◇力石(三ノ宮卯之助銘の力石)◇句碑(越谷吾山句碑)◇御霊水◇手水舎◇社叢(しゃそう)――などを写真とともにご案内します。駐車場やアクセスなどの情報のほか「越ヶ谷秋まつり」についても載せてあります。
久伊豆神社の歴史と主祭神
久伊豆神社の創建は鎌倉時代との説もありますが実際の創建の年代は不詳です。平安時代の中期には、除災招福の神として、地元の武士や庶民の信仰を集めてきたとの記録が残っています。本殿は江戸中期・寛政元年(1789年)に建立されたもの。主祭神は大国主命(おおくにぬしのみこと)と言代主命(ことしろぬしのみこと)。久伊豆神社には文化財に指定されたもののほかにも歴史的価値のあるものも多く残っています。なお久伊豆神社は、越谷市のほかに、さいたま市岩槻区(いわつきく)にもあるので、それぞれ「越ヶ谷久伊豆神社」「岩槻久伊豆神社」と呼ばれることもあります。また「久伊豆神社」は、岩槻槻区内に8社、越谷市内には7社が鎮座していますが、越谷の久伊豆神社といえば、今回ご紹介している埼玉県越谷市越ヶ谷にある久伊豆神社のことをいいます。
参道
久伊豆神社は長い参道でも有名です。参道の長さは約480メートル。初詣のときは多くの参拝客でにぎわい、参道も人で埋まり、なかなか前に進めないほど混雑します。久伊豆神社には「第一鳥居」「第二鳥居」「第三鳥居」と三つの鳥居があります。上の写真は第一鳥居。第三鳥居
久伊豆神社の第三鳥居(上の写真)は、もともとは三重県の伊勢神宮にあったものなんてす。伊勢神宮では、20年に一度、式年遷宮(しきねんせんぐう)といって、お社(やしろ)や宝具(ほうぐ)・鳥居(とりい)などを新調していますが、そのさいに今まであったものを日本全国の神社に移設します。久伊豆神社の第三鳥居は、平成7年(1995年)に三重県の伊勢神宮から譲り受け、建立されました。第三鳥居の横にある立看板には「第三鳥居 伊勢神宮より拝領(はいりょう)した第六十一回遷宮撤去材の皇大神宮板垣南御門(こうたいじんぐういたがきみなみごもん)を再建 平成七年九月二十八日竣工 久伊豆神社」と書かれています。「皇大神宮」(こうたいじんぐう)とは、伊勢神宮の二つの正宮(しょうぐう)のうちのひとつで「内宮」(ないぐう)と呼ばれています。
久伊豆神社の藤
久伊豆神社の見所のひとつが藤。樹齢約200年。株廻り7.3メートル。昭和16年(1941年)に埼玉県の天然記念物に指定されています。見頃は4月下旬から5月上旬。藤の見頃時期には藤まつりも行なわれ露店も出店。ゴールデンウィークと重なるので、毎年、多くの人でにぎわいます。上の写真は満開を迎えた藤棚と藤まつりの風景。久伊豆神社の藤まつりの様子はこちらの記事( 久伊豆神社の藤まつりと駐車場の場所 )で、ご紹介しています。平田篤胤奉納大絵馬(ひらたあつたねほうのうおおえま)
本殿の裏手にある絵馬掛(えまがけ)の真ん中に飾られている大きな絵馬は、江戸時代の国学者・平田篤胤(ひらたあつたね)が奉納した大絵馬(おおえま)。「平田篤胤奉納大絵馬」(ひらたあつたねほうのうおおえま)の名称で、越谷市の有形文化財に指定されています。平田篤胤は、越谷に住んでいた「おりせ」という女性を後妻にし、しばしば越谷を訪れていました。三ノ宮卯之助銘の力石(さんのみやうのすけめいのちからいし)
久伊豆神社の社務所の脇に変わった謂われのある石があります。それが三ノ宮卯之助(さんのみやうのすけ)の名が彫られた力石(ちからいし)。力石というのは、人の力が重要だった昔の時代、力比べや力自慢に使われた石のこと。久伊豆神社の力石の重さは約190キロあるんですが、これを三ノ宮卯之助が持ち上げて奉納したと言われています。三ノ宮卯之助は、現在の越谷市三野宮(さんのみや)の出身で、江戸時代後期に日本一の力持ちと言われていた人物。越谷市には、久伊豆神社を含めて、三ノ宮卯之助の名が彫られた力石が、現在六つ確認されています。久伊豆神社の「三ノ宮卯之助銘の力石」は越谷市の文化財(歴史資料)に指定されています。
越谷吾山句碑(こしがやござんくひ)
久伊豆神社にある池の遊歩道の一画にあるのが「越谷吾山句碑」(こしがやござんくひ)。句碑とは俳句を彫った石のこと。越谷吾山は越谷出身の俳人で、方言の研究家でもありました。石碑には「出(いず)る日の 旅のころもや はつかすみ」と彫られています。これは越谷吾山が越谷から江出に旅立つときに、その心情を詠んだ句と言われています。越谷吾山句碑は越谷市の文化財(史跡)に指定されています。御霊水(ごれいすい)
境内の一画にある御神水(こしんすい)は、御霊水(ごれいすい)と呼ばれています。場所は手水舎(ちょうずしゃ)の先・右手。かつては湧き水でしたが、関東大震災後に自噴しなくなってしまい、現在は、地下250メートルから300メートルの深層から地下水を汲み上げています。御霊水は置かれている柄杓(ひしゃく)でいただけます。持ち帰ることもできます。手水舎(ちょうずしゃ)
久伊豆神社の手水舎(ちょうずしゃ)は江戸時代前期・延宝三年(1675年)に建造されたもの。手水舎とは神社にお参りする前に身を清める場所。久伊豆神社の手水舎には「登竜門」(とうりゅうもん)の彫り物が施されていることでも有名です。社叢(しゃそう)
久伊豆神社の本殿裏には樹高6メートル以上のスダジイのほか、ヒノキ・タブ・モチノキ・ケヤキ・カヤなどが混在している林がありますが、自生のスタジイ林が残されているのはきわめて希(まれ)で、学術的にも貴重なことから、本殿の裏にある林は「久伊豆神社の社叢」(ひさいずじんじゃのしゃそう)の名称で、越谷市の文化財(名勝記念物)に指定されています。社叢とは神社の森のこと。鎮守の森(ちんじゅのもり)とも呼ばれます。こちら(上の写真)は本殿裏に自生しているスダジイの一本。樹高は6メートル以上。この木だけ独特の雰囲気があります。精霊が宿っているかのようです。木の幹に両手で触れるとスダジイからパワーが伝わってくるような気持ちに包まれます。まさにパワースポット。
ポケモンGOの禁止場所
久伊豆神社の敷地内でのポケモンGOの使用はとくに禁止されていませんが(2016年11月23日現在)、本殿裏や車清祓所でのポケモンGOは禁止されています。本殿横に「これより奥は携帯ゲーム・ポケモンGO等禁止」と書かれた立て看板が出ていますので、ルールに従ってください。久伊豆神社へのアクセスと駐車場
久伊豆神社の住所は〒343-0024埼玉県越谷市越ヶ谷1700。電車でのアクセスは東武スカイツリーライン(東武伊勢崎線)越谷駅東口から徒歩約25分。タクシーだと約5分。越谷駅東口からバスも出ています。朝日バス<花田循環>市立図書館行き「新宮前橋」下車。詳細は 久伊豆神社の公式サイト で要確認。駐車場は三箇所。専用駐車場・第二駐車場・第三駐車場(臨時駐車場)。駐車場やトイレの場所、地図などは、こちらの記事( 久伊豆神社の藤まつりと駐車場の場所 )で、写真とともに紹介していますので、ご参照ください。