10月の俳句と季語|白菊の目にたてて見る塵もなし(松尾芭蕉)ほか30句

10月の俳句と季語を選りすぐりました。全30句。10月の手紙にも使えるように、上旬・中旬・下旬ごとに分け、手紙を受け取った相手に、より季節感が伝わるような俳句を選んであります。たとえば10月の下旬に出す手紙やはがきに俳句を入れるなら「白菊の目にたてて見る塵もなし」(松尾芭蕉)。そしてこの句を使ってお礼状を書くとしたらこんな文面になります――

 

10月の俳句を挨拶文に入れたお礼はがき例文

「白菊の目にたてて見る塵もなし」(松尾芭蕉)「しらぎくの にめたててみる ちりもなし」(まつおばしょう)という俳句を入れて、自治会の秋祭りに協力していただいた方に出すお礼はがきの挨拶文を作ってみました。お礼はがきの文例として参考にしてください。なお下記の文面は横書きになっていますが、実際は縦書きを想定しています。「/」は改行の目安としてお考えください。

白菊の目にたてて見る塵もなし(松尾芭蕉)

このたびは、当自治会の秋祭りに多大なご協力といただきまして、まことにありがとうございました。おかげをもちまして、恒例の芋煮会も例年を上回る盛況ぶりとなりました。これも中川様をはじめおやじ料理会の皆様のご尽力のおかげと心からお礼申しあげます。/今後とも倍旧のご指導のほど、よろしくお願い申しあげます。/まずは略儀ながらお礼まで。

10月の俳句と季語|10月上旬に出す手紙やはがきの挨拶文に

芒
●金木犀(きんもくせい)…金木犀風の行手に石の塀(沢木欣一)●薄(すすき)…大いなる薄の株の月夜かな(小島政二郎)●秋海棠(しゅうかいどう)…雨落ちの俄に奏で秋海棠(永井東門居)●栗飯(くりめし)…栗飯のあたたかく人を発たせけり(長谷川かな女)●茸飯(きのこめし)…在りし日の父の小膝や茸飯(石塚友二)

●運動会(うんどうかい)…運動会今金色の刻に入る(堀内薫)●秋高し(あきたかし)…秋高し空より青き南部富士(山口青邨)●名月(めいげつ)…名月や煙はひゆく水の上(服部嵐雪)●渡り鳥(わたりどり)…雀らも真似してとぶや渡り鳥(小林一茶)●赤い羽根(あかいはね)…赤い羽根つけらるる待つ息とめて(阿波野青畝)

10月の俳句と季語|10月中旬に出す手紙やはがきの挨拶文に

柿
●野菊(のぎく)…足元に日の落ちかかる野菊かな(小林一茶)●柿(かき)…柿うるる夜は夜もすがら水車(三好達治)●銀杏(ぎんなん)…銀杏も落ちるや神の旅支度(天野桃隣)●新蕎麦(しんそば)…新蕎麦や暖簾のそとの山の雨(吉田冬葉)●薩摩芋(さつまいも)…ほの赤く掘起しけり薩摩芋(村上鬼城)

●野分(のわき)…野分先つ月の光を吹きはじむ(斉藤玄)●颱風・台風(たいふう)…颱風のあとしんとして月ゆがむ(日野草城)●夜寒(よさむ)…母とわれ夜寒の咳をひとつづつ(桂信子)●蓑虫(みのむし)…蓑虫のあたたまりゐる夕日かな(原石鼎)●朝寒(あさざむ)…朝寒や青葉ちらばる市の跡(正岡子規)

10月の俳句と季語|10月下旬に出す手紙やはがきの挨拶文に

菊
●烏瓜(からすうり)…白き蔓白き枯葉の烏瓜(後藤夜半)●菊人形(きんにんぎょう)…菊人形鎧は殊に朱を連ね(久米三汀)●団栗(どんぐり)…団栗の己が落葉に埋れけり(渡辺水巴)●竜胆(りんどう)…竜胆や嶺にあつまる岩の尾根(水原秋桜子)●蔦かづら(つたかづら)…桟や命をからむ蔦かづら(松尾芭蕉)

●秋深し(あきふかし)…秋深し隣は何をする人ぞ(松尾芭蕉)●行秋(ゆくあき)…行秋の耳かたむけて音はなし(高木晴子)●落鮎(おちあゆ)…落鮎の早瀬の向ふ風の村(北沢瑞史)●梅擬(うめもどき)…横向ける小鳥の嘴に梅もどき(岡安迷子)●秋の雨(あきのあめ)…芝居見る後侘びしや秋の雨(炭太祇)

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