9月の俳句と季語|曼珠沙華消えたるくきのならびける(後藤夜半)ほか30句

9月の俳句と季語を選りすぐりました。全30句。9月の手紙にも使えるように、上旬・中旬・下旬ごとに分け、手紙を受け取った相手に、より季節感が伝わるような俳句を選んであります。たとえば9月の下旬に出す案内はがきに俳句を入れるなら「曼珠沙華消えたるくきのならびけり」(後藤夜半)。そしてこの句を使って挨拶文を書くとこんな文面になります――

 

9月の俳句を挨拶文に入れた案内はがき文例

「曼珠沙華消えたるくきのならびけり」(後藤夜半)「まんじゅしゃげ きえたるくきの ならびけり」(ごとう やはん)という俳句を入れた送別会の案内はがきを作ってみました。案内はがきの文例としてお読みください。ちなみに「曼珠沙華」(まんじゅしゃげ)は「彼岸花」(ひがんばな)のこと。曼珠沙華は梵語(ぼんご)で赤い花を意味します。まれに白い花を咲かせることがあります。

曼珠沙華消えたるくきのならびけり(後藤夜半)

このたび先の場所と日程で、九月二十日に寿退社をした荒井さんの送別会を行なうことになりました。メンバーは大相模地区センター時代の一期生/場所は越谷駅東口から徒歩約四分の洋風居酒屋サルヴェ●日程…十月十三日(金)●時間…午後七時から午後九時●参加費は五千円/荒井さんへ贈るお祝いの記念品代を含みます。/荒井さんを囲んで楽しいひとときを過ごしましょう。ぜひご出席ください。出欠の返事は十月六日までに千葉までご一報ください(〇九〇-〇〇〇〇-〇〇〇〇)まずはご案内まで。
※ハガキは縦書きを想定。「/」は改行の目安。上の文例は縦書きを想定して、数字は漢数字を使っていますが、横書きにする場合は、漢数字ではなく洋数字を使ったほうが見やすいです。

9月の俳句と季語|9月上旬に出す手紙やはがきの挨拶文に

蕎麦の花
●鳳仙花(ほうせんか)…鳳仙花散るとき雲は飛んでをり(井上白石)●梨(なし)…梨むくや甘き雫の刃を垂るる(正岡子規)●秋刀魚(さんま)さんま焼くけむりのなかの一人かな…(久保田万太郎)●葡萄(ぶどう)…一房に秤傾く葡萄かな(吉屋信子)●通草(あけび)…林ゆく雨や通草がぬれしのみ(水原秋桜子)

●水澄む(みずすむ)…水といふ水澄むいまをもの狂ひ(上田五千石)●二百十日(にひゃくとおか)…風少し鳴らして二百十日かな(尾崎紅葉)●葛(くず)…相寄りて葛の雨きく傘ふれし(杉田久女)●稲妻(いなずま)…稲妻のゆたかなる夜も寝べきころ(中村汀女)●蕎麦の花(そばのはな)…そばの花山傾けて白かりき(山口青邨)

9月の俳句と季語|9月中旬に出す手紙やはがきの挨拶文に

萩
●女郎花(おみなえし)…雨風の中に立ちけり女郎花(小西来山)●露草(つゆくさ)…露草も露のちからの花ひらく(飯田龍太)●赤のまま(あかのまま)…長雨のふるだけ降るやあかのまま(中村汀女)●鶏頭(けいとう)…鶏頭の十四五本もありぬべし(正岡子規)●萩(はぎ)…白露をこぼさぬ萩のうねりかな(松尾芭蕉)

●蟋蟀(きりぎりす)…きりぎりす時を刻みて限りなし(中村草田男)●秋彼岸(あきひがん)…秋彼岸地上の者に香煙る(秋沢猛)●秋祭(あきまつり)…つたへ古る獅子舞唄や秋祭(水原秋桜子)●燕帰る(つばめかえる)…ひたすらに飯炊く燕帰る日も(三橋鷹女)●秋の声(あきのこえ)…灯を消して夜を深うしぬ秋の声(村上鬼城)

9月の俳句と季語|9月下旬に出す手紙やはがきの挨拶文に

彼岸花
●彼岸花(ひがんばな)…むらがりていよいよ寂しひがんばな(日野草城)●コスモス(秋桜=あきざくら)…晴天やコスモスの影撒きちらし(鈴木花蓑)●石榴(ざくろ)…ひやびやと日のさしてゐる石榴かな(安住敦)●無花果(いちじく)…無花果を手籠に湖をわたりけり(飯田蛇笏)●貝割菜(かいわりな)…籠の目にからまり残る貝割菜(富安風生)

●鰯雲(いわしぐも)…鰯雲日かげは水の音迅く(飯田龍太)●秋冷(しゅうれい)…紫陽花に秋冷いたる信濃かな(杉田久女)●茸飯(きのこめし)…在りし日の父の小膝や茸飯(石塚友二)●夜長(よなが)…一燈を残し夜長の仕事終ふ(高浜年尾)●九月尽(くがつじん)…九月尽はるかに能登の岬かな(久村暁台)
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