桜の季語を使った挨拶文と手紙の例文<花冷え・花曇り>

桜の季語を使った挨拶文と手紙の例文をご紹介します。◇花冷えの意味と時期◇花冷えを使った手紙の挨拶文例◇花曇りの意味と時期◇花曇りを使った手紙の挨拶文例◇桜の季語を使ったハガキ礼状の文面――など、手紙を書くときにそのまま使えるように分かりやすくまとめてあります。

 

花冷えの意味と時期

花冷え 桜の花の咲くころ急に寒くなることがあります。朝や夕方だけではなく、昼や夜も冷えることがあります。この寒さを「花冷え」(はなびえ)といいます。花冷えの時期は三月下旬から四月上旬。桜の見頃時期(お花見の時期)と重ね合わせて使われる季語なので、ただ寒いというのではなく、艶(えん)なる=艶やかで風情のある寒さ、という語感があります。

花冷えを季語に使った俳句…花冷えの闇にあらわれ鏡守(高野素十)/花冷えやまだしぼられぬ紙の嵩(大野林火)/花冷えやしきりに松へ来る雀(野村喜舟)/花冷えや上眼にらみの踏まれ邪気(能村登四郎)/花冷えや誰も帰らぬ軒灯す(星野竹翠)/花冷えや掃いてをんなの塵すこし(稲垣きくの)

花冷えを使った手紙の挨拶文例

手紙の挨拶文に「花冷え」を入れる場合は書き出しよりも結びに使うのが一般的です。結びの挨拶に「花冷え」を使った文例は「花冷えの季節、くれぐれもご自愛ください。」「花冷えのならい、とかく季候不順のおりから、お体にはじゅうぶんお気をつけください。」など。書き出しの挨拶文に「花冷え」を入れるときは「桜の花もつぼみに戻りそうな花冷えですが、いかがお過ごしでしょうか。」などとします。

 

花曇りの意味と時期

花曇り 桜の咲く季節は「花開いて風雨多し」といわれるように、曇天(どんてん=曇り空)が多いのが特徴で、この天候を「花曇り」(はなぐもり)といいます。花曇りの時期は三月下旬から四月上旬。移動性高気圧が通り過ぎたあと、弱い低気圧や不連続線などが現われる直前に起こります。なんとなく心が重い感じで、この様子を心理的に表現した季語を「春陰」(しゅんいん)といいます。

花曇りを季語に使った俳句…音のみの昼の花火や花曇(巌谷小波)/ふるさとの土に溶けゆく花曇(福永耕二)/ただ一人陶の窯守る花曇(小笠原五松子)/花曇夫婦かたみにもの忘れ(山口英二)/花曇る日々憂鬱に山椒魚(西島麦南)/花曇海を見て来し靴の砂(井上美子)/漆蒔く女の正座花曇(遠藤梧逸)

花曇りを使った手紙の挨拶文例

「花曇り」という季語を手紙の挨拶文に入れる場合、書き出しは「桜の季節になりましたが、花曇りの日々が続きます。いかがお過ごしでしょうか。」「桜花爛漫の候とはいえ、花曇りの日が続く今日この頃、」などとします。文末は「花曇りの季節、くれぐれもご自愛ください。」「花曇りの時期、まだ肌寒い日が続きます。くれぐれもご自愛ください。」などと結びます。

桜の季語<花冷え>を使ったハガキ礼状の文例

はがき礼状 桜の季節、三月末に頂き物をしたお礼のハガキを作りました。お礼状なので書き出しの時候の挨拶は省略。文末に「花冷え」という季語を使って結びの言葉にしました。「花冷え」を「花曇り」に置き換えても違和感のない時候の挨拶になります。

はがきの文面は以下のとおり。印刷は縦書きです(上記写真)

福田さん、このたびは、坂角総本舗のさくさく日記をお届けいただき、ありがとうございました。いつもお心にかけていただき、うれしさで胸がいっぱいです。かわいらしい柄の箱を開けると、黄色い箱の帆立と赤い箱の海老が! どちらもやさしい歯ごたえで、ほのかに磯の香りもして、あとをひくおいしさ。母と二人で楽しいお茶の時間を過ごすことができました。桜の季節になりましたが、花曇りの時期、まだ肌寒い日が続きます。くれぐれもご自愛ください。まずはお礼まで。

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