潮干狩りの歴史や季語などの雑学と人気スポットをまとめました。潮干狩りの歴史は平安時代に遡りますが、庶民の行楽になったのは江戸時代から明治時代にかけて。中でも旧暦三月三日は大潮と呼ばれ潮干狩りに最適な時期とされてきました。俳句では春の季語に使われます。以下、人気スポットもまじえて潮干狩りに関する雑学をご紹介します。
潮干狩りの歴史
潮干狩りの歴史は古く、平安時代の絵画や江戸時代の浮世絵にも描かれていますが、庶民の行楽になったのは江戸時代から。明治時代から大正時代には全国的に行なわれるようになりました。明治時代の実用百科事典『明治節用大全』(めいじせつようたいぜん)には「潮干狩り」について次のように記されています。「四月より五月に至るを期とす。就中(なかんずく=中でも)四月初旬をもって尤(もっとも)宜(よろし)とす。芝浦・高輪・品川・佃島・深川・洲崎・行徳の場所とす。蛤(はまぐり)蜊(あさり)牡蠣(かき)その他の貝類・蛸(たこ)蟹(かに)など獲るものあるへし。但(ただ)し南風強ければ干潮にても退かぬなり。尤(もっとも)遠くに出るには船を準備すべきこと勿論(もちろん)なり」
潮干狩りの時期と語源
潮干狩りの時期は、3月のお彼岸ごろからゴールデンウィーク過ぎにかけてが、ベストシーズンです。中でも旧暦の三月三日は大潮(おおしお)とも呼ばれ、一年の中でもっとも潮の干満の差が激しく、干潮時には、はるか沖まで干潟(ひがた)が続き、歩いて行けるほどになります。その現象を「潮干」(しおひ)といいます。潮干を利用してアサリやハマグリなどを獲る(=狩る)ことから「潮干狩り」と呼ばれるようになったのが潮干狩りの語源です。ちなみに旧暦の3月3日は、2024年は4月11日。2025年は3月31日。2026年は4月19日になります。かつては潮干狩りは天然の貝を採取していましたが、昭和40年代から始まった埋め立てや工業化の波に押されて潮干狩りができる場所も激減。現在は、人工の干潟に養殖貝を撒いた潮干狩り場も多くなってきているので、一年中潮干狩りが楽しめるところもあります。
潮干狩りの季語と季節
俳句では「潮干狩り」は春の季語になります。三月のお彼岸から五月上旬、ゴールデンウィークにかけてが「潮干狩り」を季語に使うのに、もっともふさわしい時期です。そのほか、「潮干」(しおひ)「磯遊び」(いそあそび)「観潮」(かんちょう=潮の干満を見ること)「蛤」(はまぐり)などの季語も「潮干狩り」と同様に使われます。潮干狩りを入れた時候の挨拶文
・水ぬるみ潮干狩りの季節がやってきました。
・ゴールデンウィークは家族で潮干狩りに行ってきました。
・潮干狩りのニュースを耳にする今日この頃
・ゴールデンウィークは家族で潮干狩りに行ってきました。
・潮干狩りのニュースを耳にする今日この頃
潮干狩りを季語に使った俳句
潮干狩みちきし潮に貝洗う(西池涼雨)/さりげなく人と競えり潮干狩(黒坂紫陽子)/大船のかたむく下に汐干狩り(小沢碧童)/あらはれし干潟に人のはや遊ぶ(清崎敏郎)/あすもある干潟と思いゆきてみず(山口波津女)/汐干潟誰もひとりの影を掘る(山口草堂)/上(のぼ)り帆の淡路(あわじ)はなれぬ潮干かな(去来)/鳶(とび)下りて人のごとしや潮干狩(森春鼎)