眼鏡の購入費用は原則として医療費控除の対象にはなりませんが、医師の指示により白内障など治療の一環として眼鏡を使用する場合は、眼鏡の代金は医療費控除の対象になります。
以下、具体例を交えながら、医療費控除の対象になるメガネ代と対象にならないメガネ代について、解説していきます。
医療費控除の対象になるメガネ代
眼鏡の購入費用が医療費控除の対象になるか、ならないかの判断基準は、使うメガネが医師の指示による治療の一環としたものかどうか、というのが原則です。たとえば白内障。放置していると失明をする恐れがある目の病気は、治療や手術などが必要です。白内障の手術をした場合、術後の目の保護や機能の回復を目的として、メガネを使用します。
この場合は、治療の一環としてメガネをかけることになるので、購入したメガネ代は医療費として認められますので、控除の対象になります。
白内障以外にも治療の一環として眼鏡を使う場合がある症状や目の病気がありますので、代表的なものを以下に示します。
なお花粉症で眼鏡を使う場合は「治療」ではなく「予防」と見なされますので、目医者で購入したものであっても花粉症対策メガネの代金は、医療費控除の対象にはなりません。
医療費控除の対象にならないメガネ代
近視・遠視・乱視・老眼など、ぼやけて見えるのでピントを合わせるために眼鏡やコンタクトレンズを使う場合、その購入費用は医療費控除の対象にはなりません。視力を回復させるための治療とは見なされないからです。あくまでも日常生活に必要だからメガネをかけている。治療目的でメガネを使っているのではない。という判断になります。
メガネ代が医療費控除の対象になるかならないかの判断基準
所得税基本通達(73-3)で、医療費控除の対象になるメガネの購入費用について、次のように記されています。「近視や遠視などのために日常生活の必要性に基づき購入されるものは、視力を回復させる治療の対価ではないので、医療費控除の対象とはなりません」
「斜視、白内障、緑内障などで手術後の機能回復のため短期間装用するものや、幼児の未発達視力を向上させるために装着を要するための眼鏡などで、治療のために必要な眼鏡として医師の指示で装用するものは、医師による治療の一環として直接必要な費用ですので、医療費控除の対象となります」
(出典)医療費控除の対象となる医療費 眼科医に支払う治療費等(国税庁)
購入したメガネが医師の指導による治療の一環であれば医療費控除の対象。近視・遠視・乱視・老眼など治療を目的としないものについては医療費控除の対象外。というのが判断基準の原則になります。