2月の俳句と季語|鶯の吉野を出たる初音かな(正岡子規)ほか30句

2月の俳句と季語を選りすぐりました。全30句。2月の手紙にも使えるように、上旬・中旬・下旬ごとに分け、手紙を受け取った相手に、より季節感が伝わるような俳句を選んであります。たとえば2月の下旬に出す手紙やはがきに俳句を入れるなら「鶯の吉野を出たる初音かな」(正岡子規)。そしてこの句を使って中学校の入学祝い文を書くとしたらこんな文面になります――

 

2月の俳句を挨拶文に入れた中学校の入学祝い文例

「鶯の吉野を出たる初音かな」(正岡子規)「うぐいすの よしのをでたる はつねかな」(まさかおしき)という俳句を入れた中学校の入学祝い文を作ってみました。ひとつの文例としてお読みください(文中の斜線( / )は改行の目安)

ちなみに「初音」(はつね)とは、俳句では春の季語。その年に初めて聞くウグイスの声のことをいいます。春告鳥(はるつげどり)とも呼ばれるウグイスと、中学受験に合格して春の訪れを迎えたことを「初音」という季語にお祝いの気持ちを託しました。

鶯の吉野を出たる初音かな(正岡子規)

このたびは、美咲ちゃんが私立の中学校に入学されるとのこと。まことにおめでとうございます。難関を突破しての合格、ご家族の喜びもひとしおでしょう。/月日のたつのは早いものですね。美咲ちゃんが幼稚園のときにピアノの発表会でお目にかかったのが、つい昨日のことのようです。/美咲ちゃんも入学を楽しみにしておいででしょう。充実した中学校生活を送られますようにお祈りしております。/気持ちばかりのお祝いの気持ちを贈らせていただきました。学用品の準備にでも使っていただけたら幸いです。/まずは心からお祝い申しあげます。

2月の俳句と季語|2月上旬に出す手紙やはがきの挨拶文に

黄梅
●春隣(はるどなり)…叱られて目をつぶる猫春隣(久保田万太郎)●浮氷(うきごおり)…土管には土管の形の浮氷(辻桃子)●追儺(ついな)…はじまりし追儺神楽に野鳥翔つ(下村ひろし)●立春(りっしゅん)…立春の春草園の草ごよみ(山口青邨)●二月(にがつ)…梅檀のほろほろ落る二月かな(まさおかしき)

●黄梅(おうばい)…黄梅や白雲杉にこぞる迫(原石鼎)●薄氷(うすらい)…せりせりと薄氷杖のなすままに(山口誓子)●寒明(かんあけ)…川波の手がひらひらと寒明くる(飯田蛇笏)●春風(はるかぜ)…春風や仏を刻むかんな屑(大谷句仏)●節分(せつぶん)…節分や家ぬちかがやく夜半の月(水原秋桜子)

2月の俳句と季語|2月中旬に出す手紙やはがきの挨拶文に

蕗の薹
●初午(はつうま)…初午の遙かに寒き雲ばかり(百合山羽公)●春の雪(はるのゆき)…湯屋までは濡れて行きけり春の雪(小西来山)●雪解(ゆきげ・ゆきどけ)…にぎはしき雪解雫の伽藍かな(阿波野青畝)●残雪(ざんせつ)…残雪の尾根星ぞらの若々し(千代田葛彦)●春浅し(はるあさし)…穴掘りて遊ぶ鶏春浅し(嶋田青峰)

●雨水(うすい)…雨水なり軽く押しくる猫車(前田風人)●余寒(よかん)…鎌倉を驚かしたる余寒あり(高浜虚子)●白魚(しらうお)…白魚の小さき顔をもてりけり(原石鼎)●蕗の薹(ふきのとう)…ほろ苦き恋の味なり蕗の薹(杉田久女)●春の空(はるのそら)…閑かさは何の心や春のそら(加賀千代女)

2月の俳句と季語|2月下旬に出す手紙やはがきの挨拶文に

鶯
●冴返る(さえかえる)…真青な木賊の色や冴返る(夏目漱石)●春寒(しゅんかん・はるさむ)…春寒のわが影法師たよりなげ(澤田佐和)●梅(うめ)…梅一輪一輪ほどの暖かさ(服部嵐雪)●初音(はつね)…鶯の身を逆に初音かな(宝井其角)●二日灸(ふつかきゅう)…撫肩のさびしかりけり二日灸(日野草城)

●凍解(いてどけ)…凍て解のはじまる土のにぎやかさ(長谷川素逝)●木の芽和(このめあえ)…雨雲のからむを摘みて木の芽和(山口青邨)●下萌(したもえ)…下萌や土の裂目の物の色(炭太祇)●春炬燵(はるごたつ)…誰をかも待つ身の如し春炬燵(松本たかし)●春疾風(はるはやて)…春疾風ともども鳩の舞ひ交へる(久保田万太郎)

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