4月5日にふさわしい季語と俳句をより抜きました。●紫木蓮…戒名は真砂女でよろし紫木蓮(鈴木真砂女)●清明…清明の粉々の雨先づ聴かむ(相生垣瓜人)●花見酒…仰ぐでもなし車座の花見酒(宇都木水晶花)――全24句。絵手紙や町内会便りなどにお使いください。4月5日は俳人・加藤三七子の命日なので、加藤三七子の俳句も紹介しています。
紫木蓮
紫木蓮(しもくれん)はモクレンの仲間で、黒みがかった紫色の花を咲かせます。葉の出る前に花が咲くのも特徴。細長い大きな六枚の花びらを半開状に咲かせ、花は同じ方向に向く習性をもっています。満開の花をつけるハクモクレン(白木蓮)は女王といった風格ですが、シモクレンは平安装束をまとった高貴な貴族の女性を感じさせます。戒名は真砂女でよろし紫木蓮(鈴木真砂女)/昼ふかく魔の刻ありぬ紫木蓮(伊東ふじを)/もくれんの花の奥より波の音(佐野典子)/紫木蓮和服着もせず捨てもせず(荻原玲香)/おしなべて曇れる中の紫木蓮(上村占魚)/さきがけの白熟考の紫木蓮(岡本眸)
清明
清明(せいめい)とは二十四節気のひとつで、春分から15日目の 4月5日ごろにあたります。春先の清らかで明るい様子をあらわした「清浄名潔」(せいじょうめいけつ)という言葉を略したものといわれています。また、春分のあとに吹く清々しい南東の風は清明風(せいめいふう)と呼ばれています。清明の明け方冷ゆる鞍馬かな(森田広司)/清明の空に花びらほどの雲(赤沼文子)/清明の雨となりけり雪の上(博田琴湖)/上海を出て清明の野に遊ぶ(三宅清三郎)/清明の墓に婚約いたせしと(二川はなの)/清明の粉々の雨先づ聴かむ(相生垣瓜人)
加藤三七子忌
4月5日は、俳人・加藤 三七子(かとうみなこ)の命日です(加藤三七子忌)。大正14年(1925年)4月27日生れ。平成17年(2005年)4月5日歿。享年79。俳句誌『ホトトギス』で活躍した阿波野青畝(あわのせいほ)に師事し、情緒あふれる句風で知られました。亡くなったのが近年なので、加藤三七子の忌日は俳句の季語にはなっていません。抱擁を解くが如くに冬の涛/いくたびも月にのけぞる踊かな/胸もとにみづうみ匂ふ星まつり/遠火事のふたたび炎あがりけり/風の輪を見せて落葉の舞ひにけり/狐雨海市を見んと旅にあり/くるくると粽を解くは結ふに似て/籐椅子の家族のごとく古びけり
花見酒
花見酒(はなみざけ)とは、花見をしながら酒を楽しむこと。また花見をしながら飲む酒のこと。俳句では春の季語。昔から花見には酒は付き物。古典落語の演目のひとつにも「花見酒」という落語があります。同じく古典落語の「長屋の花見」(貧乏花見)では、番茶を酒にみたてて花見に出かける貧乏長屋の話が繰り広げられます。仰ぐでもなし車座の花見酒(宇都木水晶花)/壜倒れ吹き出る酒や花むしろ(大橋桜坡子)/若党や松の木向で花見酒(正岡子規)/花見酒過ごし悔ゆるも二三日(石塚友二)/花見酒古新聞の香がしたり(草間時彦)/見酒奥は丹波の鬼の道(百合山羽公)
4月5日の日記
4月5日。北越谷元荒川堤の桜が散り始めた。桜並木では花吹雪が舞っている。神明橋付近では、すでに葉桜になりつつある木も出始めた。今日は平日とあって河川敷の茶屋と露店は開店休業状態だった。今晩の越谷の予想気温は 11.5度。夜桜を楽しむにはかなり寒い。桜まつりは今週末までだが、元荒川の桜堤で花見に興じられるのもあと数日といったところか。4月5日。今日の季語は落花。