4月17日の季語と俳句。家康忌大き茶山の押し並ぶ…他

4月17日にふさわしい季語と俳句をより抜きました。●藤…風入れてめざめかぐわし藤の頃(水原秋桜子)●乗込鮒(のっこみぶな)…先駆けを許さず乗込鮒の群(鷹羽狩行)●家康忌…家康忌大き茶山の押し並ぶ(百合山羽公)●春菜…盆に盛る春菜淡し鶴料理る(杉田久女)――全24句。サークル通信や自治会の挨拶文などにお使いください。

 

藤 藤(ふじ)はマメ科の蔓性落葉樹(つるせいらくようじゅ)。四月下旬から五月上旬のゴールデンウィークにかけて見ごろを迎えます。つるが右巻きのものは野田藤(のだふじ)、左巻のものは山藤(やまふじ)といいますが、一般的にはどちらも単に藤と呼ばれています。関東地方では、牛島の藤(埼玉県春日部市・藤花園)/骨波田(こつはだ)の藤(埼玉県本庄市・長泉寺)/千年乃藤(東京都調布市・國領神社)などの藤が有名です。

くたびれて宿かる比や藤の花(松尾芭蕉)/白藤や揺りやみしかばうすみどり(芝不器男)/飢ふおき一日藤は垂れにけり(加藤楸邨)/暮れ際に茜さしたり藤の房(橋本多佳子)/藤棚に誰も通らぬこの場所に(富樫風花)/風入れてめざめかぐわし藤の頃(水原秋桜子)

乗込鮒(のっこみぶな)

四月になって水が温かくなってくると、水底で冬ごもりをしていた鮒(ふな)が、産卵のために岸近くの浅場にエサを求めて群をなしてやってきます。これを乗込鮒(のっこみぶな)と呼んでいます。場所によっては、水田の泥の中を何百、何千という鮒が群をなして泳ぎ回る光景も見られます。ちなみに「のっこみ」(乗っ込み)とは、春先に魚が産卵場所へいっせいに移動することをいいます。

小旋風(こつむじ)や野川乗込鮒をどり(山口草堂)/疾風(はやて)波鮒乗込むをはばみけり(内山亞川)/乗込むや日の出を待たぬ鮒釣師(水原秋櫻子)/乗込の鮒の辺にして鯰釣れ(阿波野青畝)/御饌の田に乗込鮒がさわぎをり(飴山實)/先駆けを許さず乗込鮒の群(鷹羽狩行)



 

家康忌

4月15日は、俳人・藤田湘子(ふじたしょうし)の命日です(湘子忌)。大正15年(1926年)1月11日生れ。平成17年(2005年)4月15日歿。享年79 。現代俳句の可能性を追求する先鋭的な活動の先頭に立ち、3年間一日10句を作って発表することに挑戦して達成するなど、話題を呼びました。

家康忌大き茶山の押し並ぶ(百合山羽公)/家康忌晩年運を頼みとし(檜 紀代)/七十五膳神輿に供じ家康忌(西本一都)/磨り置ける墨のみどりや家康忌(藤田あけ烏)/久能山に雲こそかかれ家康忌(鳥羽しのぶ)/走り茶のおひねり賜ふ家康忌(夏目悦江)

春菜

春菜 春菜(はるな)とは、春先に摘み取って食用とする野草のこと。セリ・ナズナ・ハコベなど……。新鮮でやわらかいので、胡麻和えやおひたしのほか味噌汁やお吸い物などにしていただきます。昔は、植物が芽吹く姿には霊力が宿っているとされ、春菜を食べることで春の霊力を体に取り込めると考えられていました。

春菜は万葉集にも詠まれています。代表的な歌は奈良時代の歌人・山部赤人(やまべのあかひと)が詠んだ「明日よりは 春菜摘まむと 標めし野に 昨日も今日も 雪は降りつつ」。現代語の読み方だと「あすよりは はるなつまむと しめしのに きのうもきょうも ゆきはふりつつ」

春菜青し尼と泊りし伊豆の寺(長谷川かな女)/春菜を買ふべく鍵を鎖し出づ(西東三鬼)/盆に盛る春菜淡し鶴料理(つるりょう)る(杉田久女)/すぐにじむ春菜の緑擂鉢に(有馬朗人)/溢るるを片手抑へに春菜籠(岡本眸)/春菜野にかなしげな唄ばかり流る(金子兜太)

4月17日の日記

久伊豆神社・神池のツツジ

4月17日。久伊豆神社のツツジが見ごろを迎えている。神池の二荒山神社下では赤いツツジが燃えるように咲いている。藤棚の藤の花も咲き始めた。ツツジと藤の花の競演。一年の中で今がいちばん美しい神池の風景だ。今日はちょうど神池で二荒山神社・水神社・御合神社の例祭が執り行なわれていたので参列して三社をお参りさせていただいた。ふだんは立ち入れない水神社と二荒山神社にも入ることができた。貴重な祭事に参列させていただいたので玉串料を三千円奉納した。4月17日。今日の季語は躑躅(つつじ)

死ぬものは死にゆく躑躅燃えてをり(臼田亜浪)

4月15日の季語と俳句4月19日の季語と俳句

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