4月25日にふさわしい季語と俳句をより抜きました。●遠足…遠足の弾む列来て泥田照る(柴田白葉女)●柳絮(りゅうじょ)…とらへたる柳絮を風に戻しけり(稲畑汀子)
●蜆汁…蜆汁はや子も揃ふことまれに(中村汀女)――全24句。自治会のお知らせ文や社内報などの挨拶文にお使いください。4月25日は俳人・福田甲子雄(ふくだきねお)の命日(福田甲子雄忌)なので、福田甲子雄の俳句も紹介しています。
遠足
最近は、受験の準備や学校行事の都合で、秋に遠足を行なう小学校も増えてきましたが、昔は、遠足は春、運動会は秋が定番でした。リュックサックに水筒、お弁当、そして何よりの楽しみだったのが、お菓子。遠足に持っていっていいお菓子は30円までとかを決められて、前日、近所のお菓子屋さんで、どのお菓子にしようかあれこれ迷って買うのも楽しみのひとつでした。興奮して前夜はなかなか寝つけなかったり、雨が降らないように、てるてる坊主を作って軒先につるしたりもしました。遠足の女教師の手に触れたがる(山口誓子)/遠足の列伸ぶところ走りをり(波多野爽波)/遠足の子ら大仏の背中から(西田東風)/遠足の前夜逸(はや)りゐし足も眠る(鈴木哲哉)/遠足のおくれ走りてつながりし(高浜虚子)/遠足の弾む列来て泥田照る(柴田白葉女)
柳絮(りゅうじょ)
柳絮(りゅうじょ)とは、白い綿毛のついた柳の種子のこと。または、綿毛のついた種子が春風に乗って雪のようにふわふわ飛び漂うさまをいいます。白楽天(はくらくてん)の字(あざな)で知られる中国・唐代の代表的詩人・白居易(はくきょい)も「柳色如烟絮如雪」(柳色は烟の如く絮は雪の如し=りゅうしょくは けむりのごとく わたは ゆきのごとし)と柳絮の美しさを詠んでいます。とらへたる柳絮を風に戻しけり(稲畑汀子)/金堂のあもてを見れば柳絮とぶ(阿波野青畝)/ひとすぢの柳絮の流れ町を行く(前田普羅)/柳絮とぶ道の真中に立ちて見る(高野素十)/その人に思ひ出一つの柳絮飛ぶ(中村汀女)/柳絮飛び尽せし北京月夜なり(大野林火)
福田甲子雄忌
4月25日は、俳人・福田甲子雄(ふくだきねお)の命日です(福田甲子雄忌)。昭和2年(1927年)8月25日生れ。平成17年(2005年)4月25日歿。享年77 。山梨県飯野村(現・南アルプス市飯野)に生まれ、故郷(甲斐)の風土に根付いた格調高い作風で知られています。第5回山盧賞、第25回野口賞、第38回蛇笏賞なども受賞しています。田を責める二百十日の雨の束/早乙女の耳の産毛の金色に/梢夜明けて早乙女の動きだす/生誕も死も花冷えの寝間ひとつ/田植女の誰も火がまつ家路あり/雨の野を越えて雪降る谷に入る/くさむらに闇たまりゐる斧始/雷鳴に育つ畑の杉の苗/子の声の井戸にひびける晩夏かな/山国の秋迷ひなく木に空に/盆太鼓しづまる草のきらきらと/八方の嶺吹雪をり成人祭
蜆汁(しじみじる)
蜆(しじみ)は、冬から春にかけてが旬とされていますが、シジミの産地として有名な滋賀県の瀬田川でとれる瀬田蜆(せたしじみ)の旬が四月だったことから俳句では春の季語になっています。味噌汁(しじみ汁)にしたり、佃煮や和え物などにも利用されます。夏は「土用蜆」(どようしじみ)、冬は「寒蜆」(かんしじみ)として珍重されています。蜆汁はや子も揃ふことまれに(中村汀女)/襟巻のまま召したまへ蜆汁(芥川龍之介)/からし菜の薹(とう)立つ頃や蜆汁(正岡子規)/ほんの少し家賃下りぬ蜆汁(渡辺水巴)/届きたる瀬田蜆とて黒光り(松本翠影)/鍋底のべこんと鳴つて蜆汁(阿部元気)
4月25日の日記
4月25日。越谷市消防署谷中分署近くの畑の一角で花菖蒲(はなしょうぶ)が咲いていた。冬場はモロコの養殖も手がけている篠宮家の畑だ。紫色の美しい花にひかれて写真を撮っていたら篠宮家の奥さまが出てきて「何本か(家に)持って行きなさい」と、七本ほど切ってくださった。いただいた花菖蒲は玄関の花瓶に生け、一本だけは一輪挿しにして、部屋の窓際に置いた。4月25日。今日の季語は花菖蒲