8月の俳句と季語|朝顔や濁り初めたる市の空(杉田久女)ほか30句

8月の俳句と季語を選りすぐりました。全30句。8月の手紙にも使えるように、上旬・中旬・下旬ごとに分け、手紙を受け取った相手に、より季節感が伝わるような俳句を選んであります。たとえば8月の中旬に出す手紙やはがきに俳句を入れるなら「朝顔や濁り初めたる市の空」(杉田久女)。そしてこの句を使って挨拶文を書くとしたらこんな感じになります――

 

8月の俳句を挨拶文に入れた残暑見舞い(はがき)の文例

「朝顔や濁り初めたる市の空」(杉田久女)「あさがおや にごりそめたる いちのそら」(すぎた ひさじょ)という俳句を入れた残暑見舞いはがきの挨拶文を作ってみました。残暑見舞いの文例としてお読みください。ちなみに「朝顔」は夏の季語ではなく「秋の季語」になりますので「立秋」(8月7日ごろ)を過ぎてから出す「残暑見舞い」にはぴったりの季語のひとつです。

朝顔や濁り初めたる市の空(杉田久女)

立秋とは名ばかり。連日の猛暑に庭に咲く朝顔も心なしかぐったりした様子です。いかがお過ごしですか。先週、家族で軽井沢に行ってきましたが、あまりの人の多さに驚きました。行き帰りの道路も渋滞で、正直疲れに行ったようなものです(笑)増田さんは今年の夏はどちらに行かれましたか? またはこれから出かける予定でしょうか。まだまだ暑い日が続きそうです。体調にお気をつけください。残暑お見舞いを申しあげました。

8月の俳句と季語|8月上旬に出す手紙やはがきの挨拶文に

朝顔
●晩夏(ばんか)…紅くして黒き晩夏の日が沈む(山口誓子)●秋近し(あきちかし)…暁の雲をさまらず秋近し(佐藤紅緑)●白桃(はくとう)…白桃に入れし刃先の種を割る(橋本多佳子)●夜の秋(よるのあき)…夜の秋檜山に町の行きどまり(大野林火)●氷水(こおりみず)…青春のいつかは過ぎて氷水(上田五千石)

●向日葵(ひまわり)…向日葵を支へし棒も傾けり(桜井博道)●手花火(てはなび)…手花火の消えたる闇の匂ひかな(斎藤蘆穂)●秋立つ(あきたつ)…秋立つや川瀬にまじる風の音(飯田蛇笏)●桔梗(ききょう)…空澄みて深目射の桔梗咲く(古賀まり子)●朝顔(あさがお)…朝顔の紺の彼方の月日かな(石田波郷)

8月の俳句と季語|8月中旬に出す手紙やはがきの挨拶文に

撫子
●撫子(なでしこ)…なでしこや海の夜明けの草の原(河東碧梧桐)●赤蜻蛉(あかとんぼ)…赤蜻蛉筑波に雲もなかりけり(正岡子規)●秋の日(あきのひ)…沢蟹も逃げ行く秋の日ざしかな(夏目成美)●稲の花(いねのはな)…湖のみづのひくさよ稲の花(井上士朗)●芙蓉(ふよう)…残月やひらかむ芙蓉十あまり(水原秋桜子)

●盆(ぼん)…御仏はさびしき盆とおぼすらん(小林一茶)●墓参(ぼさん)…城山の鍬の道照る墓参かな(杉田久女)●敗戦忌(はいせんき)…敗戦忌宵待草の花群れて(十島三郎)●秋の蝉(あきのせみ)…仰のけに落ちて鳴きけり秋の蝉(小林一茶)●新涼(しんりょう)…新涼の身にそふ灯影ありにけり(久保田万太郎)

8月の俳句と季語|8月下旬に出す手紙やはがきの挨拶文に

鬼灯
●箒草(ほうきぐさ)…稲妻や同じ高さに箒草(大谷碧雲居)●蟋蟀(こおろぎ)…蟋蟀が深き地中を覗き込む(山口誓子)●鬼灯(ほおずき)…宿の子の鬼灯一つ見せに来る(神山杏雨)●白粉花(おしろい)…おしろいの花の紅白はねちがひ(富安風生)●秋の雲(あきのくも)…秋の雲湖水の底を渡りけり(正岡子規)

●蜩(ひぐらし)…蜩や今日もをはらぬ山仕事(原石鼎)●不知火(しらぬい)…不知火を見る丑三つの露を踏み(野見山朱鳥)●糸瓜(へちま)…をととひの糸瓜の水も取らざりき(正岡子規)●星月夜(ほしづきよ)…星月夜さびしきものに風の音(楓橋)●天の川(あまのがわ)…更け行くや水田の上の天の川(広瀬惟然)
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