4月13日にふさわしい季語と俳句をより抜きました。●霞草…真昼間の微風ながらに霞草(石塚友二)●十三詣…人の子の花の十三参かな(松根東洋城)●五加飯(うこぎめし)…西行に御宿申さんうこぎ飯(小林一茶)――全24句。町内会やイベントの案内文などの挨拶文にお使いください。4月13日は歌人・石川啄木の命日なので、啄木忌を詠んだ俳句も紹介しています。
霞草
霞(かすみ)がかかったように白い小さな花を無数に咲かせることから霞草(かすみそう)という名前がつきました。別名・群撫子(むれなでしこ)。花の色は、白・赤・ピンク・紫など。フラワーアレンジメントや花束には欠かせないお花です。カスミソウの花言葉は白い花は「清い心」、赤い花は「感激」真昼間の微風ながらに霞草(石塚友二)/はつきりと咲いてゐしかば霞草(後藤比奈夫)/セロファンの中の幸せかすみ草(椎名智恵子)/乳母車通ればそよぐ霞艸(石原八束)/かすみ草仕事の休み貰ひけり(鈴木しげを)/霞草白き愁ひを散らし咲く(村山故郷)
十三詣
13歳の男女が虚空蔵菩薩(こくうぞうぼさつ)に参詣(さんけい)して知恵と福徳を授かること。知恵詣(ちえもうで)や知恵貰(ちえもらい)とも呼ばれています。京都市の嵯峨法輪寺(さがほうりんじ)の十三詣が有名。十三詣の読み方は「じゅうさんもうで」「じゅうさんまいり」。「十三参」と表記することもあります。参拝のあと、寺を出る前にうしろをふり向くと、授かった知恵と福徳を返してしまうので、寺を出るまではうしろをふり向くな、という言い伝えがあります。人の子の花の十三参かな(松根東洋城)/﨟(ろう)たけし母をしだふ知恵詣(後藤夜半)/沓脱に十三詣の紅鼻緒(横山信子)/花人に混じる十三詣りかな(乾 木水)/石段にかゝぐる袂(たもと)智慧詣(阿部蒼波)/父と子と十三詣ひそやかに(松田芒趾)
啄木忌
4月13日は、歌人・石川啄木(いしかわたくぼく)の命日です。明治19年(1886年)2月20日生れ。明治45年(1912年)4月13日歿。享年26。話し言葉の三行書きの形式で生活を詠んだ作風で注目されましたが、肺結核で夭折(ようせつ)しました。代表歌は「東海の 小島の磯の 白砂に われ泣きぬれて 蟹とたはむる」など。石川啄木の命日は「啄木忌」(たくぼくき)という季語になっています。みちのくの闇に野火して啄木忌(山口青邨)/靴裏に都会は固し啄木忌(秋元不死男)/本棚のあたりより暮れ啄木忌(鈴木真砂女)/肚からの貧乏性や啄木忌(久保田万太郎)/いつ消えしわが手のたばこ啄木忌(木下夕爾)/ひとの恋知れども触れず啄木忌(安住敦)
五加飯(うこぎめし)
五加飯・五加木飯(うこぎめし)とは、ウコギの新芽や若葉を摘んで炊き込んだご飯のこと。むかしは、緑黄色野菜の乏しかった春先に、ビタミンを補うために、うこぎご飯のほかに天ぷらやおひたしなとにして、よく食べられていました。ウコギは独特の香りがあるので、必ずしもおいしいとはいえませんが、春の味をいただく料理として、食されています。風を踏む丹波の鬼や五加木飯(進藤一考)/五加木飯通夜もまつりのこころあり(岡本高明)/西行に御宿申さんうこぎ飯(小林一茶)/伊那谷に雨の降る日の五加木飯(斉藤夏風)/五加木飯念仏すみたる草家かな(角田竹冷)/なにゆえに五加飯など届きしか(藤田湘子)
4月13日の日記
4月13日。北越谷元荒川堤の桜も見ごろを終え、葉桜が目立ちはじめた。どの枝も花が散っあとの顎(がく)に赤い蘂(しべ)だけが残っていて、その赤い蘂も散り始めている。俳句では、桜の花が散ったあと、蘂がこぼれ落ちることを桜蘂降る(さくらしべふる)という春の季語になっている。桜の季節も終わり、久伊豆神社の藤棚では、藤の花が咲き始めた。4月13日。今日の季語は桜蘂降る。