越ヶ谷宿の雛めぐりガイドツアー<2020>に参加しました。

2020年2月29日・土曜日。埼玉県越谷市の「越ヶ谷宿の雛めぐり」ガイドツアーに参加した様子を写真とともにご紹介します。越谷市・旧日光街道周辺(越ヶ谷宿=こしがやじゅく)の古民家や人形店で公開されている貴重な雛人形や蔵などを約2時間半かけて巡ってきました。

 

越ヶ谷宿の雛めぐりガイドツアー|2020年2月29日

雛めぐりと古民家まちなみガイドツアー 今年(2020年)で8回目を迎える「越ヶ谷宿の雛めぐり」。開催期間は2月25日(水)から3月3日(火)の8日間。雛めぐり期間中、ガイドツアー(雛めぐりと古民家まちなみガイドツアー)が行なわれるのは、2月29日(土)と3月1日(日)。私は初日の2月29日(土)に参加してきました。巡った箇所は20箇所。越ヶ谷宿<2020>春の宿場まつり~雛めぐりと古民家・まちなみガイドツアーの様子を時系列でご案内します。

今回は、新型コロナウイルス感染症拡大防止のために、越谷市のイベントは軒並み中止。越ヶ谷宿の春の宿場まつりも期間中のイベントが一部中止・延期になりましたが、雛めぐりと古民家・まちなみガイドツアーは、案内役・参加者全員マスク着用で、予定どおりの開催となりました。また、参加費は、500円の予定でしたが、和菓子と抹茶のお接待が中止になったので、300円になりました。

集合|越谷駅東口・ガーヤちゃんの蔵屋敷前

ガーヤちゃんの蔵屋敷前 集合は東武伊勢崎線・越谷駅東口(ガーヤちゃんの蔵屋敷前)。参加人数は6人。案内役は、越谷市郷土研究会のお二方。今回のツアー行程の概要と、新型コロナウイルス感染症対策についての諸注意のあと、午前10時、ツアー出発。

越ヶ谷駅停車場新設記念碑

越ヶ谷駅停車場新設記念碑 最初に向かったのは、越谷駅東口ロータリーにある越ヶ谷駅停車場新設記念碑。大正9年(1920年)4月に開設された越谷駅(東武鉄道)が平成11年(1999年)に高架線になって改築されたのを記念して建てられた記念碑です。石碑の正面には「越ヶ谷駅停車場新設記念」と彫られています。当時は「越ヶ谷駅」ではなく「越ヶ谷停車場」と呼ばれていました。

新町八幡神社

新町八幡神社 続いて訪れたのは八幡神社(越谷市越ヶ谷2-2-16)。江戸時代、越ヶ谷宿は、本町・新町・中町の三つに区画されていました。この八幡神社は新町にあったので「新町八幡神社」(しんまちはちまんじんじゃ)とも呼ばれています。建立されたのは約660年前、南北朝時代の文和2年(1353年)ごろと伝えられています。

力石 境内には、江戸時代、日本一の力持ちと称された越谷出身の三ノ宮卯之助(さんのみや うのすけ)が持ち上げて奉納されたと伝えられる力石(ちからいし)が置かれています。ガイドさんの話によると、越谷市には三ノ宮卯之助が持ち上げた力石が六つ残っていますが、會田石(あいだいし)と刻まれた新町八幡神社のこの力石は、どうやら三ノ宮卯之助が持ち上げたものではないようだ、とのことです。

水田家

水田家 雛人形と吊し雛 3番目に訪ねたのは水田家(みずたけ)・旧水田文具店。住所は越谷市越ヶ谷2-2-22。文房具屋の前は、染物の刷毛(はけ)を扱う刷毛屋を営んでいました。ガラス戸がピカピカ。家屋の手入れも行き届いていて、保存状態も良好です。お内裏様と両脇に吊し雛が飾られていました。

植木屋人形店

植木屋人形店(外観) 植木屋人形店(店内) 10時20分。4番目に訪れたのは植木屋人形店(越谷市越ヶ谷2-7-3)。店主の曾田正三(あいだしょうぞう)さんから越谷の人形作りの歴史についてお話がありました。植木屋人形店は越谷雛(こしがやびな)の元祖で、江戸時代の安永年間(1772年~1780年)に、越谷で雛人形の製作と販売を始め、現在に至っています。

江戸時代の雛人形 越谷わらべ人形 越谷段雛 店内には、江戸時代の当主が作った雛人形(親王飾り)や明治時代によく売れたという越ヶ谷わらべ人形のほか大正から昭和(戦前)までの雛人形も公開されています。江戸時代(亨保年間)の奢侈禁止令(しゃしきんしれい)によって作られた越谷段雛の複製も展示されていました。
地口絵紙
地口絵紙 お雛様とは関係ありませんが、地口絵紙(じくちえがみ)も展示されていました。地口絵紙とは絵地口(えじくち)とも呼ばれ、江戸時代に流行した言葉遊びで、ことわざや芝居の台詞(せりふ)などを語呂合わせで作りかえ、それを滑稽画とともに描いたもの。地口絵紙を角型の行燈(あんどん)に貼ったものを地口行灯(じくちあんどん)と呼び、お祭りのときに奉納したり、神社の参道などに飾られたそうです。

田中米穀店

田中米穀店 植木屋人形店をあとに旧日光街道(県道52号越谷流山線)を越谷二丁目方面に進むこと約150メートル。田中米穀店(たなかべいこくてん)に到着。住所は越谷市越ヶ谷2-4-25。昔は臼屋(うすや)という屋号で米屋を営んでいました。菱形の銅板戸袋(とぶくろ)が特徴的な建物で、昭和初期に建てられたそうです。

行徳屋

行徳屋 田中米穀店の斜め前にあるのが行徳屋(ぎょうとくや)。建築業と薪や炭などの薪炭(しんたん)を扱う燃料店。田中米穀店の菱形の銅板戸袋に対し、行徳屋は、二階の網代型(あじろがた)をした緑色の銅板戸袋が特徴的な木造建築です。

横田診療所

横田診療所 10時40分。7番目に訪れたのは、横田診療所(埼玉県越谷市越ヶ谷3-2-30)。内科・小児科・婦人科。今も現役の診療所です。昭和10年(1935年)築。昭和35年(1960年)までは郵便局として使われていました。レトロ感ただよう西洋風の木造二階建ての建物です。洋風を意識した横板張り(南京下見板張り=なんきんしたみいたばり)が特徴です。

油長内蔵

油長内蔵(外観) 続いて立ち寄ったのは、油長内蔵(あぶらちょううちくら)。油長(あぶらちょう)という屋号で油屋(あぶらや)を営んでいた旧家・山崎家の蔵です。明治時代築。老朽化により解体される予定でしたが、存続を希望する声に後押しされ、地元・中央住宅(ポラス)が買い取り、外壁を塗り替えて2015年に再生・改築、越谷市に寄贈。イベントなどで活用されています。

まち蔵カフェ(油長内蔵) 1階部分はカフェスペースとして毎週、金・土・日曜日の午前10時から午後5時まで「まち蔵cafe」(まちくらカフェ)を営業しています。上の写真は珈琲(和菓子付き)。珈琲豆と水にこだわって淹れるコーヒーは逸品です。

油長内蔵(雛飾り) 越ヶ谷宿・春の宿場まつり雛めぐり期間中は、2階では山崎家の蔵に保存されていた雛人形や吊し雛が展示されています。正月の羽子板に使われる押絵雛(おしえびな)を掛け軸に挿して五段飾りに見立てたものも見ることができます。

押絵雛 上の写真の左側、壁に掛けられているのが押絵雛の掛け軸です。

八百喜参の蔵

八百喜参の蔵(外観) 八百喜参の蔵(蔵内) 10時50分。9番目の訪問先、八百喜・参の蔵(やおき・さんのくら)に到着。外見は石造りのように見えますが、洗い出しと呼ばれる製法で作られた木造の蔵なんです。越ヶ谷宿の雛めぐり期間中は蔵の中に展示されている雛人形を見学することができます。100年を超す貴重な雛人形や珍しい高砂人形も飾られています。

流し雛 蔵の入口には流し雛も飾られていました。昔は、越ヶ谷宿の東を流れる元荒川でも流し雛が行なわれたそうです。
レコード鑑賞
レコード鑑賞 蔵の前で、ご主人の秘蔵レコードをビクターのステレオで聴かせてもらいました。今回、聞かせていただいたレコードは、大正・昭和にかけて活躍した盲目の箏曲(そうきょく)家・宮城道雄(みやぎみちお)のアルバム『名曲選集』。「春の海」が流れていました。

有瀧家の黒板塀

有瀧家の黒板塀 八百喜参の蔵をあとに、訪れたのは、有瀧家の黒板塀(ありたきけのくろいたべい)。住所は越谷市中町8-2。八百喜参の蔵の裏手です。建造物を支えるために土台として黒塀下に据えられる礎石(そせき)には伊豆軟石が使われています。またこの場所は、赤山街道の起点に当たります。

中町浅間神社

中町浅間神社 11時5分。11番目に寄ったのは、越ヶ谷小学校の北側にある中町浅間神社(なかまちせんげんじんじゃ)。住所は埼玉県越谷市中町7。境内にあるケヤキは、越谷市でいちばん大きなケヤキで、樹高23メートル・幹回り7メートル。推定樹齢600年の古木で「浅間神社のケヤキ」として越谷市の文化財(天然記念物)にも指定されています。

木下半助商店

木下半助商店(外観) 続いて立ち寄ったのは木下半助商店(きのしたはんすけしょうてん)。住所は越谷市中町7-20。創業は江戸後期。明治の大火により消失。明治38年の大火後に再建。現在は大工道具や金物を扱っています。2015年に、越谷市では初の国の登録有形文化財(建造物)に登録されました。

座売りする木下半助商店の女将 木下半助商店では、江戸時代からの座売り(ざうり)で商売を営んでいます。今はもうお客さんが自由に手に取って商品を選ぶ陳列販売が当たり前になってしまいましたが、お客さんが希望を伝えるとお店の人が商品を出してくるという「座売り」はもう時代劇でしか見ることができなくなってしまいました。上の写真は、お客さんの注文を受けて急須を出してきた木下半助商店の女将。

木下半助商店(雛人形) 店内には七段飾りのお雛様と吊し雛が飾られていました。木下半介商店は、2018年2月28日、BSプレミアムで放映されたドラマ「越谷サイコー」の撮影現場として使われました。主人公の加奈子(佐久間由衣)さんの祖母(良枝)役・竹下景子さんが営む雑貨屋「伝助商店」が木下半助商店です。

小泉家住宅

小泉氏住宅(外観) 小泉氏住宅(蔵) 木下半助商店の正面にあるのは、小泉家住宅(こいずみけじゅうたく)。住所は越谷市中町10-5。明治8年築。明治32年の越谷の大火により母屋は消失。現在の土蔵(どぞう)は越谷の大火で焼失を免れた当時のものです。母屋は明治32年に再建。銅板張り土戸(つちど)など明治時代の防火対策を施した建築が見られます。

トイレ休憩|越谷商工会議所

越谷商工会議所 11時30分。越谷商工会議所で10分間のトイレ休憩。

 

鍛冶忠商店

鍛冶忠商店(外観) 鴻巣雛(鍛冶忠商店) 越谷商工会議所の正面にあるのが、鍛冶忠商店(かじちゅうしょうてん)。住所は越谷市中町10-6。明治33年(1900年)に建てられた蔵造りの建物。日用雑貨・荒物などを扱っています。今はほとんど見られなくなった箒(ほうき)も店頭に吊るされています。もともとは鍜冶屋(かじや)だったそうで、屋号はそれにちなんでいます。店内には明治時代のお雛様(鴻巣雛=こうのすびな)が飾られていました。

旧亀屋フルーツ店

旧亀屋フルーツ店 吊し雛 11時45分。15番目に立ち寄ったのは旧亀屋フルーツ店(越谷市越ヶ谷本町1丁目)。越ヶ谷宿の人形店・会春(あいはる)の雛人形をはじめ彩り鮮やかな吊し雛が飾られていました。

鳥獣雛 吊し雛の奥に展示されていたのが、鳥獣雛(ちょうじゅうびな)。うさぎ・ねずみ・馬・猿などの動物を人形にした珍しい雛人形です。本物の雛人形に使う素材を組み合わせて作ったそうです。

会田金物店

会田金物店|外観 続いて向かった先は、会田金物店(あいだかなものてん)。埼玉県越谷市越ヶ谷本町3-32。江戸時代に建てられた(らしい)といわれている歴史を感じる建物です。近藤勇が泊まったという話も伝わっているそうです。お店に到着すると、ご主人が出迎えてくれました。

会田金物店|店内 金物 店内は、あらゆる商品が、天井まで積み上げられています。ドン・キホーテの圧縮陳列は、会田金物店の陳列を真似したのではないかと思えるほど(笑)。品物の種類も豊富ですが、探すのは困難。どこになにがあるかは、ご主人のみぞ知る。大工道具の釿(ちょうな)なども売っているので、遠方からも大工さんが買いに来るそうです。

遠藤家の蔵

遠藤家の蔵 会田金物店から20メートルほど先にあるのが遠藤家の蔵。遠藤家は、以前は白生地・木綿問屋を営んでいたそうです。当時の蔵が残されていて、蔵の外壁は銅板葺きです。

大沢橋|大橋

大沢橋 12時10分。越ヶ谷本町交差点に到着。ここまでが越ヶ谷宿になります。前方、元荒川に架かる橋は大沢橋(おおさわばし)。大沢橋は大橋(おおはし)とも呼ばれています。元荒川を越えると大沢宿(おおさわじゅく)になります。

越ヶ谷宿は、日光道中(日光街道)三番目の宿場で、越ヶ谷町と大沢町との合宿(あいじゅく)でした。合宿とは、二つの町でひとつの宿場機能を形成すること。本来は越ヶ谷宿というのは越ヶ谷町と大沢町との合宿をいいますが、越ヶ谷町を越ヶ谷宿、大沢町を大沢宿(おおさわじゅく)とも呼ばれていました。

岡埜製菓

岡埜製菓|外観 岡埜製菓|店内 越ヶ谷本町交差点からUターン。立ち寄ったのは、岡埜製菓(おかのせいか)。住所は埼玉県越谷市越ケ谷本町6-3。明治25年創業。和菓子の製造と販売を行なっています。店内には平安古典雛や吊し雛が展示されていました。越谷名産のくわい(慈姑)を使ったくわい饅頭やくわい大福のほか塩あん大福・甘あん大福など(いずれも期間限定販売)が名物。ガイドさんがツアー参加者全員に名物の塩あん大福を買ってくださいました。

はかり屋

はかり屋|外観 はかり屋|中庭 20番目。最後に訪れたのは、2018年4月1日にオープンした古民家複合施設「はかり屋」(越谷市本町8-8)。明治38年(1905年)ごろに建てられた土蔵造りの二階建て。旧大野屋邸秤屋(きゅう・おおのやていはかりや)。当時の面影を残したま残されています。2018年11月に国の登録有形文化財の認定を受けました。

令和を装う越谷雛 はかり屋内の「つると」では、令和を装う越谷雛の展示が行なわれていました。
安行桜
安行桜 上の写真ははかり屋の敷地に咲いていた安行桜(あんぎょうざくら)です。

解散

解散 12時30分。雛めぐりと古民家まちなみガイドツアーはこれにて終了。はかり屋で解散となりました。今回は、新型コロナウイルス感染症拡大防止のために参加者全員マスク着用となりましたが、越谷市郷土研究会のガイドさんのうんちくある解説もあって、今まで知らなかった越谷の魅力にも触れることができました。

越ヶ谷宿を巡るガイドツアー

越ヶ谷宿の甲冑めぐりガイドツアーに参加してきました。
越ヶ谷宿を巡るガイドツアー重陽の節句に参加しました。
越谷市「第7回宿場まつり」に行ってきました。

越ヶ谷宿春の宿場まつりの日程とイベント内容

越ヶ谷宿春の宿場まつりチラシ 日光街道越ヶ谷宿・春の宿場まつりは毎年、2月の下旬から3月上旬に行なわれます(事前申込制)。会場となる旧日光街道沿い商店街エリア(越谷商工会議所周辺)では、期間中、ミニコンサートやワークショップをはじめイベントも多数、催されるほか、ガイドツアーも行なわれます。また、旧日光街道沿い周辺の古民家・商店・大沢香取神社・越谷市役所ロビー・越谷ツインシティ・御殿町自治会館では、雛人形も展示されます。
 

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