カビが原因で起こるアレルギー性疾患はたくさんありますが、中でも高温多湿になる梅雨から夏の時期に発症しやすいのが夏型過敏性肺炎(なつがたかびんせいはいえん)。放っておくと死に至ることもある病気です。夏型過敏性肺炎の◇症状◇発症しやすい場所◇治療◇予防と対策……などについてまとめました。
夏型過敏性肺炎の症状
夏型過敏性肺炎とは、6月から10月の時期に発症し、咳・微熱・だるさ・呼吸困難などが主な症状。夏風邪の症状と似ていますが、毎年、同じような時期に症状が出るのが特徴です。過敏症肺炎には夏型過敏性肺炎のほかに、空調病・加湿器病・農夫病・鳥飼病などがありますが、夏型過敏性肺炎が全体の7割を占めています。一般的には冬には症例が見られないので「夏型」と呼ばれています。夏型肺炎と呼ばれることもあります。
原因はトリコスポロンというカビ
夏型過敏性肺炎の原因となるのはトリコスポロンというカビ。トリコスポロンの飛び散った胞子を吸い続けると、肺の中でアレルギー反応が起きて、慢性化すると最悪の場合、死に至る可能性もあります。また、室内で飼っている小鳥の糞(ふん)などに増殖したカビの胞子が原因となることもあります。トリコスポロンの発生しやすい場所
トリコスポロンは、築20年以上の木造家屋や湿気の多い土地に建てた家などに多くみられます。浴槽・脱衣場の腐った木枠・雨漏りした天井裏・台所の流し台の下・冷蔵庫の下――といった水回りに多く繁殖します。検査と治療方法
夏型過敏性肺炎の検査や治療は呼吸器科の専門医や病院で行なわれます。胸部エックス線検査や胸部CT検査(コンピュータ断層撮影=Computed Tomography)のほか血液検査などが行なわれ、夏型過敏性肺炎と診断されたら治療に入ります。夏型過敏性肺炎の治療は、原因となるカビから離れるのが最優先。場合によっては引っ越しや転職などの対策が必要になります。そのうえで、ステロイド薬などの抗生物質による投薬治療を受けます。夏型過敏性肺炎は投薬治療で快方に向かいますが、症状が改善されない場合は入院による治療が行なわれ、慢性化している場合は継続的な長期治療が必要になります。