2019年5月16日・木曜日。越谷観光協会主催「観光ぷらっとこしがや」に参加。葛西用水路・瓦曽根稲荷神社(かわらぞねいなりじんじゃ)・平和橋・新平和橋・東福寺・久伊豆神社・天嶽寺・宮前橋・中土手など、越谷市の越ヶ谷地区を中心に、元荒川周辺の景色のいい場所や神社仏閣などを約2時間半かけて巡ってきました。
観光ぶらっとこしがや|2019年5月16日
今回、私が参加したのは「観光ぶらっとこしがや~新越谷八景を歩く~」。参加費は300円(保険代など)。当日5月16日は「旅の日」。松尾芭蕉が『おくのほそ道』の旅に出発した日(旧暦3月27日・新暦5月16日)にちなんで設けられました。『おくのほそ道』ならぬ「こしがやのほそ道」を越谷市観光協会のガイドさんたちと巡った様子を写真を交えてお伝えします。9:30 集合|ガーヤちゃんの蔵屋敷前
集合時間は午前9時30分。集合場所は越谷駅東口・ガーヤちゃんの蔵屋敷前。参加人数は26人。2班に分かれ、各班ごとにガイドさんが三人ずつ付きました。越谷市観光協会の担当者も同行。ガイドさんは越谷市観光協会のボランティアガイド。班ごとにガイドさんの紹介が行なわれ、9時35分、スタート今回の観光ぶらっとこしがやのテーマは「新越谷八景」ですが、山本梅塘(やまもとばいとう)という越谷の漢詩人が明治初年に選定した「越谷八景」(こしがやはっけい)というのがありました。久伊豆の暮雪(ひさいずのぼせつ)・天嶽寺の晩鐘(てんがくじのばんしょう)・東福寺の秋月(とうふくじのしゅうげつ)など全八景。今はなくなってしまった場所や景観もありますが、今回は「越谷八景」も巡っていきます。
9:40 越谷市中央市民会館
最初に向かったのは、越谷市中央市民会館。越谷市越ヶ谷4-1-1。社会福祉会館の跡地に平成4年(1992年)開館。社会福祉会館当時、この敷地内に三歳未満の乳児を預かる乳児保育所があったとガイドさんから説明がありました。なんとこのガイドさん、その乳児保育所に勤めていたそうです。09:45 葛西用水路
続いて越谷市中央市民会館の裏手(葛西用水路側)エントランスへ向かいました。エントランスから望む葛西用水路の景色は噴水もあって見晴し抜群。下流前方には、しらこばと橋が望めます。「新越谷八景」のひとつに入れたい景観です。
葛西用水路の脇道(遊歩道下)を下流に向かって歩きます。かつては、このあたりに離れ小島があって、そこに水神様が祀られていました。水神様の祠(ほこら)に舞い降りる雁(がん)の情景は、「水神の落雁」(すいじんのらくがん)として「越谷八景」のひとつにも選ばれていました。
10:15 瓦曽根稲荷神社
3番目に訪れたのは瓦曽根稲荷神社(かわらぞねいなりじんじゃ)。越谷市瓦曽根1-5-6。越谷市中央市民会館から葛西用水右岸を200メートルほど歩いた道路沿いにあります。瓦曽根稲荷神社の創建年代は不詳ですが、代々この地の名主を務めてきた中村家の屋敷神(やしきがみ)として祀られていたといわれています。中村家の敷地は広大で、瓦曽根稲荷神社の境内とは地続きだったそうです。現在、中村家は瓦曽根稲荷神社から50メートルほど先のところに屋敷をかまえています。
10:25 中村家の松
瓦曽根稲荷神社で参拝したあと、4番目の訪問先は中村家。門の手前に松の木が見えますが(上の写真中央)、江戸時代後期の浮世絵師・鳥文斎栄之(ちょうぶんさい・えいし)の描いた『瓦曽根溜井図』(かわらぞねためいず)にも中村家の松と瓦曽根稲荷神社が描かれている、というお話をガイドさんが教えてくれました。ちなみに松の木の手前(写真の左側)にある木は榧(かや)です。葛西用水右岸側歩道
中村家をあとに、葛西用水の右岸を右手に眺めながら越谷市中央市民会館・越谷市役所方面に向かいます。木々の緑が鮮やか。右手前方に葛西用水と元荒川に架かる平和橋と新平和橋が見えます。10:35 平和橋
続いて 5番目に向かったのは平和橋。越谷市役所と越谷市中央市民会館の間・市役所前中央通りの葛西用水路に架かる橋です。上の写真は平和橋から葛西用水の下流を望んだ風景。右に越谷市中央市民会館、左は元荒川。右前方に、先ほど訪れた瓦曽根稲荷神社の杜が見えます。左前方にはしらこばと橋が望めます。
10:40 新平和橋
平和橋の隣、元荒川に架かる橋は新平和橋。昭和41年(1966年)完成。こちら(上の写真)は、新平和橋から眺めた元荒川・下流側の景色です。「水郷こしがや」の名にふさわしい風景です。
10:45 東福寺
7番目。新平和橋を越えて 150メートルほど先を左折。ミート&デリカやまとの裏手にある東福寺(とうふくじ)に到着。時間は10時45分。住所は越谷市東越谷1-12-21 。東福寺は越谷でいちばん高い場所(標高9.75メートル)に位置してると、ガイドさんが教えてくれました。本堂で参拝。東福寺は真言宗の寺で山号は小林山。寺伝によると、開山は、約750年前、鎌倉時代中期・文永年間(1264年~1275年)。本堂は昭和37年(1962年)に火災で焼失。現在の本堂は昭和43年(1968年)に再建されたものです。
東福寺の境内には松の大木が生い茂り、「東福寺の秋月」(とうふくじのしゅうげつ)とうたわれて、明治初期の越谷八景のひとつに数えられていました。「東福寺の秋月」とは、東福寺の松林にかかる秋の月の情景を謳ったもの。境内にある松の大木を眺めながら、この松の木にかかる秋の月の情景に思いをはせました。
境内には、鎌倉時代から室町時代、安土桃山時代にかけて建立(こんりゅう)された阿弥陀三尊などの板碑(いたび)も保存されていました。板碑とは平たい石で造った石碑のことをいいます。
11:00 元荒川土手
東福寺をあとに、元荒川左岸の土手を上流に向かって歩き、次の訪問先、久伊豆神社と天嶽寺(てんがくじ)へ。元荒川の河川敷に紫色の花が所々で群生しています。その紫色の花は「ナヨクサフジ」だと、参加者のひとり(女性)が教えてくれました。11:10 久伊豆神社|参道入口
11時10分。8番目の訪問先、越谷の総鎮守・久伊豆神社(ひさいずじんじゃ)参道入口に到着。住所は越谷市越ヶ谷1700。参道入口から拝殿までは約300メートル。久伊豆神社と参道の松並木に降る暮れ方の雪景色は「久伊豆の暮雪」(ひさいずのぼせつ)と謳われた越谷八景のひとつでもあります。参道入口から拝殿に向かって手を合わせ、参道と隣接している天嶽寺(てんがくじ)へと向かいます。11:15 天嶽寺
11時15分。9番目に訪れたのは浄土宗の寺院・天嶽寺(てんがくじ)。住所は越谷市越ヶ谷2549。天嶽寺の山門前で、天嶽寺の由緒などをガイドさんが説明してくれました。山号(さんごう)は至登山遍照院(しとざん へんしょういん)。開山は室町時代・文明10年(1478年)と伝えられています。天嶽寺の本堂にお参りをしてトイレ休憩。
上の写真は、「天嶽寺の晩鐘」(てんがくじのばんしょう)として越谷八景のひとつに数えられた梵鐘(ほんしょう)。「天嶽寺の晩鐘」とは、天嶽寺の暮れ六つの鐘が鳴り渡る付近の情景の美しさを謳ったもの。暮れ六つは現在だと午後6時ごろの時間です。
境内には、越谷で生まれた江戸時代中期の俳人・越谷吾山(こしがやござん)の句碑がありました。「ひと津るべ 水のひかるや けさの秋」。吾山150年忌を記念して昭和9年(1934年)に建てられました。また天嶽寺の墓地内には、越谷市の有形文化財にも指定されている越谷吾山の供養墓石もあります。
11:40 宮前橋
11時40分。続いて10番目に向かったのは宮前橋(みやまえばし)。久伊豆神社参道前・元荒川に架かる橋です。昭和40年ごろまでは、夏の時期、宮前橋付近は川遊びの場所として、たくさんの人でにぎわったそうです。当時の白黒写真をガイドさんが見せてくれました。宮前橋の下は、まさにいもあらい状態。お盆休み時期のしらこばと水上公園のプールようなにぎわいです。そんな時代もあったんですねぇ……。貴重な写真を見せていただけました。宮前橋から元荒川の上流を望みます(上の写真)。ここからの風景も越谷八景で「寺橋の夕照」(てらはしのせきしょう)として謳われました。寺橋とは宮前橋の昔の名前。「寺橋の夕照」とは、元荒川に架かる寺橋や土手に立ち並ぶ木々が夕焼けで川面に映った情景の美しさをいいます。
11:50 中土手
11時50分。11番目。宮前橋を渡って、元荒川右岸と葛西用水左岸の間にある土手(中土手=なかどて)を下流に向かって歩きます。土手の左側を流れるのは元荒川、右が葛西用水路。前方に新平和橋・平和橋、右前方に越谷市役所と越谷市中央市民会館が見えます。葛西用水の右岸(越谷市柳町周辺)には柳が点在しています。かつて、このあたりの河原には柳が生い茂っていたそうです。その風景は「柳原の夜雨」(やなぎはらのやう)として越谷八景にも謳われています。「柳原の夜雨」とは、柳原(現在の柳町周辺)の河原(元荒川)に生い茂る柳に降る夜の雨の情景をいいます。
12:05 相扶共済の石碑
12時5分。新平和橋・平和橋を渡って、越谷市役所(藤だな通り側)に到着。越谷市役所の敷地内(南側駐車場の脇・藤だな通り側の敷地)には「相扶共済の石碑」がありますが、現在、越谷市役所は、新本庁舎建設工事のために、入ることはできませんので、工事用の仮設塀の隙間から「相扶共済の石碑」をのぞきました。ちなみに越谷市市役所・新庁舎完成は 2020年度(令和2年度)。使用開始は 2021年(令和3年度)予定。上の写真が「相扶共済の石碑」(そうふきょうさいのせきひ)。塀の隙間から撮影。昭和11年(1936年)に設立された国民健康保険制度の前身である越ヶ谷順正会から昭和16年(1941年)に越ヶ谷順正会国民健康保険組合に発展したことを記念して、昭和23年(1948年)に建立。越谷市の有形文化財にも指定されています。
12:10 解散|葛西用水ウッドデッキ
12時10分。葛西用水ウッドデッキ(越谷市役所東側)で解散。午前9時35分に越谷駅東口・ガーヤちゃんの蔵屋敷を出発し、所要時間は2時間半。歩いた距離は約4キロ。「観光ぶらっとこしがや~新越谷八景を歩く~」は、ガイドさんのきめ細かな解説と、なごやかな雰囲気の中、緑が色濃くなった越谷を楽しく巡ることができました。観光ぶらっとこしがや体験記
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観光ぶらっとこしがや|越谷市観光協会
観光ぶらっとこしがやは原則として毎月1回開催(催されない月もあります)。主催は越谷観光協会。内容や申込方法などについては越谷市観光協会のホームページでご確認ください。ホームページからも申し込めます。越谷市観光協会のホームページでは、イベントや講座のお知らせのほか越谷の観光スポットなどの情報も掲載されています。越谷のおすすめ観光ルートが載っている郷土越谷散策マップをダウンロードすることもできます。